馬頭鉱山
(うまのかしらこうざん)
場所・姫路市夢前町山之内乙

まさか、まさかでした。
数年前にもここを訪れておきながら、ラスボスの威容に圧倒されて、
勝手に行き止まりだと思い込んでました(この記事参照)。

実はその先があったんですよ。

要はヤツはラスボスではなく、
ダンジョンの入り口を守る中ボスに過ぎなかった訳です。

映画とかで、一作で終わらすつもりがウッカリ大ヒットしちゃったので、
無理矢理、2作目作りましたってなカンジで歯切れが悪いですが、
これもご愛嬌ということで。

しかも、やまあそさんの情報によると、その先は鉱山!?
大人の事情で作られた続編は、見るに堪えない出来になることが多いもんですが、
今回は期待出来そうです。

って言う訳で、やってきました。

生半可なデジタル地図だと、
村の存在でさえ表示されない
馬頭のさらに奥地、
東馬頭の端っこまで。

こっから先はさすがに
車が止めれそうにもないので、
住民のおばちゃんを捕まえて、駐車場を借ります。

そのついでにドラゴンの首のことも
聞きますよ、はい。
当然です。

「よー知らん内にあったんやわー」

不法投棄か。
そんなワケないでしょ・・・・おばちゃん。

さあて、気を取り直して
この先の行き止まりを越えて・・・

と思ったら、フェンスが開いている・・・
これは幸先良いですな。

まあ、開いてなくても、
横の川から登るんですけどね。

おばちゃんに一言断ったからいいでしょ。

ちなみにおばちゃん曰く、林業の人が
トラックを乗り入れているとのこと。
思ったより整備されてるのはそういう訳か。
何せ電気まで来てますからね。
林道の先に何か施設がある?

じゃあなんで地図に載らない?
まあ、こういうワクワク嫌いじゃありませんよ。

ってか、ここの電柱。

ウマノカシラなのか。ウマガシラなのか、
ハッキリしてほしいんですが。

ただでさえ、馬頭(ばとう)観音やら、
牛頭馬頭(ごずめず)やら、
パッと頭に浮かぶ
メジャーな読み仮名がある分、
普通に混乱しますよ一般人。

とすぐ、送電線の終点が見えてきました。
砂防ダムにしては立派すぎると思いきや、
配水池らしいです。

場所的に水源地じゃないの?
こんなトコで水溜めてどこに撒くの?
とも突っ込みたくなりますが、
そもそも地下水を組み上げなくても、
純粋に水量があるのが夢前川系の売りですからね。
それに目をつけて世界No.2にのし上がった
新日鉄が姫路に来たのは伊達ではないということが、
こんな奥地でも垣間見えます。

それにしても、無駄にデカイ
多分、配水池としては、姫路最大級
ある意味、小型のダムです。
って、この配水池、
ふと見上げると、林の中に
ミョーな穴が空いてるっぽいんですよね・・・

あれ、鉱山?

コンクリの壁が5m以上あるので、
手も足も出ませんけどね。

他が見つからなかったら、
アレに手を出さねばならんのか・・・・

いや、人間の力は偉大ですよ。

未整備の山肌より、
ガッツリ整備された斜面の方が、
滑落の危険度マックスですから。

これは命がけや・・・
と思ってたら、何とまあ。

道端にフツーに穴、開いてる!!

今まで幾多の鉱山跡に踏み入って来ましたけど、
こんなにフレンドリーな場所
あるのは珍しい。
その気になりゃ、車で横付け出来ますよ。

とか言って、中はショボイんでしょ?
(ジャパネット風に)
いえいえ、奥さん。
←ご覧のとおり、ずいぶんと立派なもんです。

立って歩けそうなほどに、坑内が広い・・・。
昭和に入ってもバリバリ操業していた
富栖鉱山にも匹敵する綺麗さ。

夢前町史にも、
夢前町の地域産業史にも、
カケラも載ってないのに、この規模。

これは、他も期待できるかも!
で、次の角を曲がって、
ふと上を見上げたら
・・・あるじゃないですか

犬も道を歩けば棒に当たるらしいですが、
ココは歩けば、廃坑に当たります。

天国です(本心)。

しかし、ココは思いの外、埋まってます。
中に入るのは難しいか?

いやいや、中になんて入りませんよ。
有毒ガスとかカマドウマとか、
コウモリの糞とか、
スペランカーだったら即死ものの危険
が待ち構えていますからね(経験談)。

命あっての物種ですよ、はい。

と嘘くさい事を宣っていたら・・・
上にも、それらしきものが・・・!
山の中腹、
さすがに下の道からは見にくい位置に、

地割れのような痕跡が。

もちろん、立地が立地だけに、
ただの地割れなハズがありません。
おお!やはり廃坑!!!

しかもとてつもなくデカイ!!!

何だ!?この高さは!?
4、5mはゆうにあります。

フツーに成人がルンルンスキップ
歩いていけそうな大きさの坑口!

テンション上がりますよ!
これは!!
中も広々。
腰の心配をしないでいい
鉱山跡って、
観光鉱山になってる連中を除けば、
そう多くはないんじゃないでしょうか?

ここまでして夢前町の産業に
微塵も寄与しないってんですから、
掘った連中の徒労っぷりったら、ありゃしません。

一応、が出ていた記録が、
微かにあるらしいんですけどね。

大きな廃坑を抜ければ、
大型の見慣れない乗り物が闊歩する
その筋の人が見たら、
ウハウハの林業風景がお出迎え。

もちろん、穴居人はその筋の人ではないので、
正直、道を占領すんなよとしか
思いませんが、ここ林道なんで、
明らか仕事の邪魔してんのは、
コッチなんですよね。


通報もせずに親しげに挨拶してくれた
オッチャン達の好感度は鰻登りですよ。

とか何とかしてたら、唐突に行き止まりに。
崩れたというより、わざと崩したっぽい、
土砂が行く手を遮ります。

周りに、鉱山の痕跡はなし。

めげずに沢をあちこち登ってみること、
2時間
特に何もねえ・・・

しいて言えば、
←この石垣っぽい施設ぐらい?

前半、ひょいひょいと見つかっただけに、
拍子抜け感がヤバイです。

日暮れも近くなり、
退散するのも後わずか。

仕方ないから、
彼処に手をだすか・・・・
さらに30分後
めちゃくちゃ、後悔してました。

行きしの崖の上なんですけどね。
いや、やっぱり
下から見て危機感感じる場所は、
あがって無事に済むハズがないですわ。

まず大丈夫そうな足場から→

凄まじいイバラ地獄がお出迎え。

イバラを避けるためによじ登る→

落石で胸を強打。

引き返すに引き返せない・・・
さらに登ると、足場が完全に崩壊

滑り落ちる土砂と共に、
5mはある石垣にご案内♪

何とか踏みとどまりましたけど。

手のひらが大きくエグれて、
手袋が真っ赤に染まるスプラッタっぷり。

早く帰りたい。
数多の修羅場を幾多くぐり抜け、
やっとこさ辿り着きました・・・

穴場の姫路はオススメしないスポットの宝庫ですが、
この穴は特別、オススメしません。

得るものより失うものの方が大きいです。

だって穴、埋まってるし。

ここまでの苦労は何だったんだ・・・

いや、ココを掘った人たちも、
こんな気持だったのかも知れません。

当時の事まで追体験させてくれてると思うと、
感慨深いもんがあります。

いらんお節介ですけどね。
命からがら帰ってくると、
(山の反対側までよじ登って降りてきた)
おばちゃんがまだ外で作業してました。

もちろん、鉱山の事を聞いてみます。
ドラゴンに興味がなくても、
地元の事ぐらいは知ってるだろ。

すると、お爺ちゃんを喜び勇んで連れてきました。
これは期待できるんじゃないか。

おじいちゃん曰く、

「ああ、あれか。
タンスにお金がありゃ、掘るんじゃ」


・・・正直、意味がわからんのですが、
地元の人の財布に余裕が出たら
掘り進めてたってことですかね?

何を質問しても、
お爺ちゃん、これしか答えてくれないんですが・・・

ともかく地元の人が掘り進めた
巨大な試し掘り跡、
その素敵な徒労っぷりを皆さん、
一度、体験してみましょう。

穴居人は二度と御免ですが。
(林道沿いは別腹です)

穴場スコア「ダブルボギー」クラス

記事の感想や、記事に関する情報等があれば是非BBSへ。
HOMEへ戻る


撮影:2014.01 by 穴居人