(とすこうざん)
場所・姫路市安富町関
姫路をくまなく散策してきたつもりでした。
東西南北駆け回り、立ち入り禁止の柵をよじ登って、
友人の制止を振り切り、明らか命に別状をきたしそうなトコも散々っぱら制覇したつもりでした。
それでもまだ、見逃してました。
トビキリの穴場スポットを。
ここの恐怖は、何故か全国的に有名になってる2万円トンネルの比じゃありません。
何せ本気で死んでしまうので(冗談抜きに)。
ってわけで、百聞は一見にしかず。まずは観ていただきましょう。
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安富ダムの中ごろの向かって右手、 整備された道路に、 不自然にはられた鉄線が みえたら其処が入り口。 前々から気になってたんですよね。 鉱山が危険だから? そりゃ、ワクワクしますが、実情はちょい違います。 不法投棄があまりにも多いからです。 わざわざこんなトコまでご苦労さんですよ。 こんなトコまでテレビ捨てに来る 度胸とガソリン代がありゃ、 幾等でも他に手はあると思うんですが。 |
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しかし、何でそんな事情を知ってるか? 実は安富町に直接、問い合わせたからですよ。 まず安富町史を読み漁って、 情報収集してはみたんですが、ほぼ空振り。 地元のオッサンの立身出世なんてどうでもいいんですよ。 何故に地誌のくせに地域ソースをもっと調べない? 香寺町史(必読)を見習わせてやりたいです。 15巻も出してる割りに中身の薄い某市町村にも。 返事はすぐきました。さすが親方日の丸。 仕事がはやい。もしかして暇なのか? 曰く「安富町史を読んでください。図書館においてます」 ・・・・さすが親方日の丸。 見事に役立たずです。 |
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やはり、自分の足で稼ぐしかないようです。 ま、いつものことですが。 さあ、大河川沿いに登っていくと、 対岸に石積みの古道はあるわ、 目下に坑内水を沈殿濾過する為の調整池があったりと、 それらしい施設のオンパレード。 いやでも期待が膨らむってもんです。 |
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ものの15分もしない内に、 鉱山へ到着。 ん?思ってた以上に、 整備されてる・・・? 手元の資料によると、 大正7年に試掘願いが出され、 昭和9年に主要鉱床を発見。 昭和11年に採掘権登録した かなり歴史の古い鉱山のハズなんですが・・ |
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坑口も、かつて見た事もないほど、 キレイな様子で、完全封鎖されてます。 まるで観光地みたい。 聞いていた印象とまるで違うんですが・・・ もしかして本気で観光開発は進んでるとか??? |
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まあ、真ん前はこんな有様ですが。 つい20数年前に放置された車がどうやったら、 こんなにグチャグチャになるんでしょう? ここに放置された車は皆、この有様なんで、 正直、ガクブルもんです。 ここの水って・・・・ 試したい方は是非、此方をどうぞ。 お肌がツルツルになるらしいですよ。 何故かは知りませんが。 |
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それと真横の事務所はこんな有様ですしね。 観光地を目指すんなら、 コイツは真っ先にどうにかしましょうぜ。 腐りきったまま放置された神棚なんて、 笑うに笑えないので。 |
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何より、地盤沈下はマズいでしょう。 観光地を目指すなら、まず安全管理は必須ですよね。 危機管理が甘いと、 雇われ店長が店ん中で女の子にイタズラしたり、 ヘタな肉掴まされて季節外れの病原菌をばら撒いたり、 イメージが最悪になりかねませんからね。 いや、僕は応援してますよ。 ペッ○ーランチ。 |
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でも、身近にはこんな清流も。 水が蒼い! 水着がなくても、 人目がなけりゃフルイチで飛び込みたくなる透明度。 ただ・・・魚が一匹も泳いでないんですよね。 こんなにキレイなのに・・・・。 いや、きっと水温が低いからですよね! だってお肌ツルツルになるんですから。 イタイタイとかはなりませんよ。きっと。 |
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さあて気を取り直して、 辺りを見回すと、すぐ立ち入り禁止の看板が。 これでさっきの坑口が、 アホの侵入を防ぐために、 キレーに塞がれたんじゃないことが解ります。 それとも予算がなかったのか? ニッパー一つでもぐりこめそうなその内部は・・・ |
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何ともシッカリした坑道が広がってます。 砂利も敷き詰められ、 昭和50年代まで操業していた真実味を感じる、 洗練されたフォルムですよ。 全坑道が天然掘りゆえに、 世界遺産に登録された石見銀山とかとは、 趣が違いますが、 これはこれで。 |
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しかし、手元の資料によると、 この鉱山はまだまだ山手にあるはず。 とりあえず、林道沿いにあがってみることにします。 すぐ右手に石積みの砂防ダムが見えたと思ったら・・・ |
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今度はシッカリと鉄扉で閉じられた、 坑口がお出迎え。 ホント、ほんの少し歩いただけで 穴にぶち当たるね、ここは。 扉には不自然にひん曲がったような痕が。 アホが無理やりこじ開けようとしたのか? それとも中から? どっちにしろガクブルですな。 |
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そしてちょっと行けば、 近代鉱山には欠かせない、爆薬庫が。 火気厳禁の4文字が似合う、 重厚な造りになってます。 中は当然空っぽですけどね。 |
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楽しかったのはここまで。 林道を奥へ奥へ進んでいけども、 ←みたいな大自然はたっぷり味わえるのに、 鉱山関係の施設は見当たらなくなってきました。 ここは引き返すべきか・・・? |
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事務所横にあるホッパー跡まで戻ってきました。 この付近は森が深くて、 さっきはあえて無視してたんですよね。 とりあえず、この辺から山に踏み入ってみることにします。 |
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それにしても岩の色がここに鉱山が開かれたのが、 素人でもよくわかる色してます。 金属満載だぞって雰囲気ですな。 そのおかげで、後でエライ目にあうんですが。 |
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山を見上げても、それらしいものもないので、 坑口の真上を無理やり登ってみることに。 獣道もあるし、大丈夫かな。 って甘かったです。 40°ぐらいの斜面が延々続く割に、 植生が貧困で(鉱毒?)、 何より足場の岩がボロボロと崩れていく。 ただの登山なのに、神経をすり減らすこと請け合い。 道を間違えたのか? 一応、仮にも鉱夫サン達が、 歩いた道があるはずなんだが・・・。 サービス業勤めの生温いボディとは出来が違うのか? 僕なら通勤がこんなトコなら、一日で消えます。きっと。 |
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山に入って彷徨うこと、2時間。 そろそろ帰りたくなってきた、その時でした! なんだ!?このケーブルは!! |
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その正体は鉱石を運ぶバケットを運行するための、 ロープウェーでした。 って何だ!?これ!! 山の断崖の上に、穴! 宙にはロープウェーが立派にまだぶら下がってます。 あんなトコまで行ける気がしねえ・・・・ 鉱夫の方々はどんな神経してたんでしょう? よく見りゃ山の中腹にも穴! 一気にスペクタクルに突入です。 疲れも一瞬で吹き飛ぶってもんです! |
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うひゃあ、山ん中、大小の穴だらけ!!! 手当たり次第に堀りまくったのか、 山の形が変わってしまってます。 いやはや、スゴイ!スゴイ! これほどの規模で、鉱山施設が拝めるトコは、 日本各地数多ある廃鉱山の中でも、 屈指でしょう。 何せ比較的近代鉱山のくせに、 風体は露天掘りですからね! |
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足場は最悪なんで注意が必要ですが。 アチコチ、大小のズリ山があって、 それ踏みしめていくことになるので。 穴居人みたいに、調子に乗って跳ね回ってると 胸元に鉄の棒が刺さりかけたりとか、 スプラッターなイベントが起こりかねません。 本気で注意が必要。 何より頭上からボロボロと石が落ちてきても、 文句は言えないこの環境。 非常にデンジャラスですよ。 |
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だからこそ、ワクワクするのも否めませんが。 自分の命が可愛い方にはオススメしません。 朽ちかけた電柱を辿っていくと、 上に向かう道を見つけました。 あのロープウェー櫓まで、辿り着けるのか? |
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いや、こんな有様なので何とも・・・・ 梯子・・・・腐りきってます・・・ ってか、梯子がかけてあるのにビックリです。 鉄骨の櫓や、 この上にあったポンプなんかの重量物を、 どうやって上に上げたんでしょう? 吊り上げて? この足場で死人の記録がないのが、 かえって心配ですよ。 死にすぎて隠蔽されたりとか。 |
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何せ戦時中はあいも変わらず朝鮮の方々が、 強制労働させられてたそうですからね。ここ。 あれ?梯子が腐ってるのに、 何故その上にあるポンプのことがわかるかって? そんなの決まってるじゃないですか。 強行軍ですよ、強行軍。 まあ、そのおかげで、 自分が高所恐怖症だってことを思い出しました。 だって足場の下が抉られてるですぜ。 いつ崩れるか・・・・ |
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それでも登っちゃうのが性なんでしょうか。 植物のように平穏に過ごしたいのに。 絶対に無理だと思っていた 断崖の上に辿り着いちゃいました。 その景色は壮観の一言。 |
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一目下見りゃ、この有様ですからね。 ・・・・僕、帰れるかな・・・・・ 後悔先立たず。 しばらく呆然として、 クリフハンガーに勤しむことにします。 ココで西瓜になっても、 白骨になるまで発見されなさそうですんで、 是非、生きて帰る方向で。 |
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途中でこんな道も発見。 この向こうに行くために、唯一の道なんですが・・・ |
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ものすごく深い縦穴の上なので、 さすがに冒険できませんでした。 こりゃ、無茶でも無謀でもなく、 無理ってもんです。 本能が教えてくれます。 だって底が見えねぇん・・・ですよ・・・・ |
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ホントにここに通勤してた人たちを、 穴居人は尊敬します。 プロ中のプロですよ。 そりゃ当時はいくらか整備されてたんでしょうけど、 前日、夜更かしして寝不足とかだったら、 確実に現世とオサラバしてそーな 殺伐とした職場に毎日通うなんて、 正気の沙汰とは思えません。 とはいえ、 午後6時という秋間近にはとても危ない時間帯に、 急いで再訪を誓いつつ、下山することに。 違う意味で遭難しかねないですよ、まったく。 |
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その帰り道では、立派な坑道を多数確認。 入り口も閉ざされるどころか、 野ざらしですよ。 ああ、探検したいが時間がっ! 余談ですが、ここがこの惨状になっているのは、 阪神大震災の影響が大きいそうです。 そうなると、この光景が見れなくなるかも? だって山崎が動いたら、それどころじゃないですからw (まだ言ってんのか) |
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他にもトロッコの軌道が・・・! 滑車が、バケットが・・・! まだまだ盛りだくさんの山ん中。 涙を呑んで素通りです(写真は撮るけど) というわけで、 最後は不完全燃焼気味になってしまいましたが、 姫路最大の冒険スポットであることは確実です。 行くことはオススメしませんが。 まだまだ、何やら隠されている気もしますし、 リベンジは必至の予感。 というわけで怠慢で血も涙もない安富町役場の方、 改心した穴居人に新たな資料を提供してください。 ココは安富町最大の観光スポット になれますよ、きっと。 後押ししますんで(結構、本気) |