(たぐち・さくらのぼうくうごう)
場所・神埼郡福崎町田口
はるか昔、徳川埋蔵金を探すとかで、山に大穴開けた番組がやってました。
横穴が出てきたり、糸井重里が大いに吠えたり、
見ながら子供心にワクワクしたもんです。
ただユンボで穴掘ってるだけなのに。2時間の番組中ずっと。
それでも見れたのは、もちろん「埋蔵金出るかな」という
微かな期待の産物と言っても過言じゃありません。
それで、大人になって思うんですよ。
当時、本当に見つかったなら、番組が始まる前にニュースになってたろうから、
大人は皆、見つからないことを知ってたハズなのに、
なんでみんな、嬉々として見てたんでしょう?
徒労に終わる様を嘲笑してたんでしょうか?
糸井重里が「世界唯一の土木番組」と自嘲してたらしいですが、
当時の大人の気持ちを思うと不可解でなりません。
まるで絶対ありえないアイドルとのロマンスを妄想するようなもんですかね。
その点、ここ田口、桜は安心出来ます。
きっと今でも埋まってます。
黄金でも札束でもなく、爆薬ですが。
見つかったら、 警察どころか、自衛隊が来ちゃうなw ここ、福崎町の最果て田口は、 高橋の弾薬庫で計画された、 本土空襲が始まる→ どうしよう、弾薬庫に空襲なんてあったら 一巻の終わりだ・・・・→ そうだ!穴を掘って隠しちゃえ! という子供でも思いつく薄ら寒いものが 頓挫した事から白羽の矢が立ちました。 その理由は高橋周辺の岩盤が強固だったから。 (高橋の弾薬庫参照) それでわざわざ山を2つ3つ越えた この地までせっせと穴を掘りに来たんです。 今回の目的はその穴を見つけること。 高橋よりも、軟弱な岩盤に掘ったはずなので、 (じゃないと意味がない) 70年後の今まで残ってくれてるか、不安ですけどね。 って、もう見えてる・・・・! (左寄りの中央付近をご覧あれ!) |
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道から明らかに見えてる防空壕って、 なにげに初めてかも。 茂みの中に目を凝らさなくても、 元気に大口を開けていらっしゃりました! 立入禁止の看板かとおもいきや、 土砂採取を禁止する とは。 確かに穴開けて地盤を弱くしてる 防空壕は崩しやすそうですが、 自治会が防空壕を守る理由なんてあるんだろうか? |
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そのおかげかどうか知りませんが、 中の状態は非常に良好。 生唾が止まりませんなぁ! 確かに頭上がものすごく気になる 今にも崩れそうな 粘土質の岩盤で高橋に比べれば、 遥かに掘りやすそうです。 それでも42箇所掘るのに、 1000人動員して、2月11日〜3月下旬までの 1ヶ月半弱みっちりかかっちゃいました。 |
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強行の突貫作業だったんで、 落盤事故とかも日常茶飯事だったようですが、 弾薬庫の火薬を隠せるぐらいには、 掘り終えたみたいです。 さすが、半径2kmをふっ飛ばした 施設の建設を歓迎してた地元民と、 戦死者の大多数が餓死という、 悲惨極まりない兵站で大した反乱もなく 従順に戦った兵隊さん達です。 尊敬すべきMっぷりですが、 10数年後、ハエと悪臭ごときで 町の基幹産業を追い出してるトコをみると、 工事責任者の力が強かったのかも知れません。 何せ当時の町長の義弟ですからね。 軍の人選もさすがに厭らしいw |
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幸先良く、一つ見つけたはいいものの、 30分以上、辺りを散策しても次が見当たらねぇ・・・ もしかして、土砂取りの看板が立ったのは 他の防空壕でやらかした連中がいたからでしょうか? 物資を運び込む関係上、 離れて作る必要はないハズなんだけど・・・ と、農道の茂みに、 穴居人の駄目センサーが反応しましたよ! |
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違う意味で利用されてました。 どこぞでも、 史上最強の廃棄物、 ニュークリアくんを廃坑に捨てたりしてましたが、 これは酷い・・・ そういや廃坑といえば、 高橋の弾薬庫、ここが完成する前には 当然、現行の穴を利用する事を想定していて、 神子畑や生野の廃坑にも 爆薬を運び込んだそうです。 ただでさえ縦横無尽に掘り進んだ地盤に、 大量の爆薬が埋まってるのを想像するだけで、 ハイキングを謹んでしまいそうですが、 一応、戦後に進駐軍が、 2階級特進者まで出して回収班を回してるトコみると、 確実に不発弾がゴロゴロしている 広畑沖よりは安全かも。 いやいや、安心は出来ません。 手掘りで掘りやすいよーな地盤に、 期待してはいけません。 何せ回収した記録は残っていても、 運び込んだ目録と照らし合わせはしてないんですから。 |
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ああ、言い忘れてましたけど、 この防空壕、 はるか昔、遊園地が中に併設されていたという、 バブル時代の播磨で 最大の狂気施設(褒め言葉)の 姫学キャンパスランド(失言)の裏手にあります。 あまりの芳ばしさに、 穴居人も独自調査を重ねてるほど。 ココを作ったおっさんは、 姫路2大巨頭、 石見元秀氏、門口堅蔵氏に匹敵する 素敵な御方です。 (身近にいなければ) まあ、ここのおかげで、 多くの防空壕が姿を消したみたいなので、 今回に関しては敵ですが。 それにしても、この社宅っぽいもの。 なんでツートーンにしたんだ? オレンジと灰という、理解できないハイセンスが らしいといえばらしいですが。 |
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探すこと、2時間。 意外と見つからないもんです。 とぼとぼと来た道を戻ってみたら、 またセンサーが! 一回通った道なので、 一回見逃した事を まだまだ未熟と考えるべきなのか、 一回見逃すぐらいに 隠れたポイントを見つけ出した と感心すべきなのかは分かりませんが、 とにかく今回は大物です。 |
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だってほぼ完璧な姿で、 残っているんですから! これが、弾薬以外にも その部品となる信管やパラフィンなどを 貯蔵していたという防空壕です。 中は意外と広くって、 |
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こんなカンジ。 なんとも言えない雰囲気が漂ってますが、 大満足です!! 鶉野みたいに、 コンクリの豪華仕様ではありませんが、 この趣、癖になりそうです! 考えればそうですよね! 人間用じゃなければ、もし空襲で崩れても、 掘り返せばいいだけですから! 人間じゃそうはいきません。 まあ、一般ピープルが掘った個人用は、 得てしてこんなモンなんでしょうが。 |
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さあ、最後にメインディッシュとシャレこみましょう。 実は福崎町史には、 堂々と防空壕の写真が載ってるんです。 桜地区にあるのは分かってたんですが、 具体的な場所がまったく検討つかず、 5年前に来た時は断念せざるを得なかったんですよ。 でも今なら、 |
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この向こうに穴が見える・・・! ハズ・・・・ |
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難易度高ぇよ・・・・ まったくセンサーが働かない 凄まじい藪の中で、 夏じゃなくてホントに良かった と自分に言い聞かせながら、 また30分格闘してました。 そしたら、山の中に不釣合いな、 いや、防空壕には付き物の、 |
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虎ロープならぬ、 虎柄バリケードですよ。 いやはや、穴居人は やっぱり未熟者でした。 危険を知らせる看板に救われるとは。 福崎町史によると、 ここは変わった状態で保存されているはず。 |
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情報のとおりでした。 並々と溜まった水。 どうもこの防空壕、 地元の人の灌漑施設として 第二の生を得てるようなんです。 しかし、きれいな水だ。 地下水? |
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奥はこんなカンジ。 感無量。 色んな穴場に潜ってきましたが、 コレほど幻想的な場所は珍しいですよ。 ココは青の洞門にも匹敵しますよ、ハイ。 長靴を持ってこなかった事を、 すごく後悔してます。 ああ、奥を覗きたい・・・ |
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お役所には怒られるかも 知れませんが。 行政の手がここまで伸びていると、 ヘタすれば人知れず埋められてしまうかも 知れないので訪れる際は、 あんまり派手にならないようにお願いします。 何せフェンスの向こう側ですからね。 鹿用だと信じたいですが、人間避けの 可能性も捨て切れません。 穴居人は反対側の山からチャレンジしましたが。 ともかく末永く残ってて欲しいもんです。 爆薬も埋まってんなら、 おとなしくしといて欲しいもんです。 自衛隊が大切に使ってた鶉野と違って、 福崎町は、弾薬庫を消滅させた前科 がありますからね。 南無南無(無信心)。 |