(やしろしばさきやまきんざん)
場所・姫路市八代宮前町
ブームは遅れてやってくる。
どこかの芸能人が韓国ドラマを見るたびに、80年代の日本のドラマのパクリだとのたまわってました。
それを言ったらおしまいじゃないか。
日本のドラマもアメリカの堂々パクリなのに。
自分の逃げ道がなくなるじゃないですか。
それじゃ仮面ライダーの変身ベルトを友達より先に買ってもらったのをいいことに、
「コイツ、俺の真似して買いやがった」
と優越感に浸ってた厭味な小学生と同レベルですからね。
ちなみに変身ベルトは風車で回るヤツじゃないですよ。
テレビに向けると回るヤツです(年齢モロバレ)。
明治維新のほんの20年前。
アメリカでは最大のドラマ、ゴールドラッシュが起こってました。
100人ばかしの男鹿島にもボロ負けするド田舎だったカルフォルニアを、
アメリカ最大の都市に跳ね上げたお涙頂戴のサクセスストーリー。
どんだけお父ちゃん(童貞)純粋やねんの神の子の誕生日を、
自分の誕生日の次くらい大事にしてる日本人がこんなイベントを見逃すハズがないじゃないですか。
それも驚くほど、ミーハーな姫路人が。
そんでもって、やっぱりやっちゃいました。
「金山を見つけたぞ!!」
掘り始めちゃったのです。
姫路のど真ん中で金山を。
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すげえバイタリティ。 アホなコトをしてると、考えればすぐわかるんですが。 何せすぐ側の姫山で、 山の形が変わるほどの大工事してんですよ。 そのとき、金の欠片も出てきてないのに、 出て来るワケがないじゃないですか。 まあ、これでホントに出てきてたら、 姫路城がボコボコに掘りかえされてた かも知れないので、 結果オーライです。 芋畑にされるぐらいで済んだしね。 |
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そう。結論から言うと、 金は出ませんでした(当然) でも掘っちゃったんですよ。 金山。 こんなトコで。 閑静な住宅街に金山(未遂)! その跡が残っているなら、拝みに行くのが、 当然と言うものでしょう。 ただ記録に残っているのは、 八代で掘ったという記述のみ。 |
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こりゃ、困りましたぜ。 姫路城から歩いて15分ってトコなんで、 いくらなんでもモロバレな位置にはないんでしょうしね。 とりあえず、何はなくとも山中に乗り込んでみます。 始めは登り易そうな八代大歳神社から。 ちゃんと登山道まであるので。 無断立ち入り禁止? ゴメンね!一応は読んだよ! でも金山があるんで(意味不明)! |
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山道は意外にしっかりしてます。 人の手が入りまくり。 立ち入り禁止のくせに、 人の気配がありすぎる。 ものの数分で、山頂に到着。 山頂には行者堂がある・・・・ はずだったんですが・・・・ |
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もう八百万の神様でも救いようがねぇ・・・ 予想だにしませんでしたけど、 地図にも載ってる神社が、 こんな惨状になっているとは。 無断立ち入り禁止にしたくなる 気持ちもわかるってもんです。 高木の廃屋で、 扉開けたら、野犬と顔合わせした 苦い記憶がよみがえります。 |
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今回の方が怖い気けど。 何せ、このノリでガチンコ顔合わせするのは、 ホモ・サピエンスですからね。 それもアングラ方面の。 神社に泊り込んで、こんなコトが出来るヤツとですよ。 ちょっと前の時代劇は、 よく無人の寺を寝床にしてましたけど、 ゴミは綺麗に片付けてましたぜ。 この生活臭。 おおぅ、吐き気がする・・・・ |
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この柴崎山。 赤松氏がまだヤンチャしてた時代には、 お城もあったような、由緒正しき場所なんですが。 お地蔵さんも、無造作に放置プレー。 足元には、井戸らしき大穴がテキトーに開いてます。 繰り返すようですけど、 坪単価40万超える、 住宅地の真ん中ですよ。 気持ちの暗闇がドンドン膨らんでいきます。 金山探しにきたハズなんですけどね。 |
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山頂に広がるダークサイドを抜けると、 見晴らしのいい広場が。 ココは眺めも空気もいい・・・・! 最初からこれでお願いしたいんですが。 素直にオススメできる見晴らしスポット。 しかもちゃんとした山道もついてます。 二度もカオスな空間を通らなくても済むワケですよ。 |
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山道では、鉄塔の点検にともない、 大規模な自然破壊の見本市。 爆風で薙ぎ倒されたように、 これでもかという惨状を晒してます。 でも、何でだろ。 さっきのダークサイドよりは健全に見えるのは。 アレに比べたら、 こんなもん屁でもない気がします。 ・・・・って!!! |
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上山防空壕の時もお世話になった、 危険テープを見逃すトコでした。 穴はコイツがあるから発見できるんですよ。 伐採されたおかげで、 かなり状態よくお披露目されてます。 でもこれが金山!? ものすごくショッボ・・・・ 文献には何日も掘ったって書いてるのに。 こんなはずでは・・・ これじゃない。 まだあるはず。 穴居人はまだ悪あがきをやめませんぜ。 まだ姫路の天然洞窟と噂の、 洞城だって諦めてませんからね。 |
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しかし、山中は意外と整備されているところばかり。 特に、姫路城側は高級そうな墓地が広がってます。 これの造成で埋められてたら、 アウトですな。 反対側には、マンションも。 万事休す? |
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一通り一周してみて、 ある結論に達しましたよ。 春来るよーなトコじゃねえ。 雑草が栄養満点の酸性雨で、 活き活きとしてるおかげで、 視界がすこぶる悪い。 やはり、穴探しは冬にならないと。 |
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っことで半年後。 懲りずにやってきちゃいました。 今度は少し賢くなって、 切り口を変えてみますぜ。 |
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実はこの八代柴崎山の麓、 大野川沿いには、その名もズバリ 金山大明神という、神社が建ってるんです。 ほんまにそのまんまですよ。 ココの神主さんなら、何か知っているに違いない。 何せ金山神社ですからね。 これほど白々しい名前はありませんぜ! |
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入り口に奥津城が並ぶような、 気合の入った宗教法人なんで、 覚悟してチャイムを鳴らします。 だって、聞きたいことと言や、 「この神社、ここから出た金で建てたんですか?」 ですからね。 生きて還れないかも知れませんぜ。 ・・・・とても、感じのいいおばちゃんがお出迎え。 事情を説明すると、簡潔なお応えが。 「ここの教祖様は、亡くなりはって、 私は掃除しに来てるだけ。昔のことはようわからんわ〜」 奥津城(意味は是非調べてみよぅ!)は、 代々の教祖のモンだったんですね。 クワバラ、クワバラ。 また取っ掛かりを失った? とりあえず、神社を散策してみます。 あれ?山ん中に、かすかに何か見えるぞ。 |
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見ちゃいけないようなものが。 もうヤダよ。 また廃墟だよ。 ホントにしつこいですが、 姫路城から15分で、 閑静な住宅地が直ぐ其処なんですが・・・ 山ん中は廃墟だらけか? いや、待てよ。 もしかしたら、これが金山の痕跡なのでは? ココに誰かがいて金山を掘っていた? |
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山中を3時間ほど歩きまわったんですが、 崩れかけた手すりに捕まって、 姫路城から15分の距離のこの場所で 滑落事故を起こしかけた以外は、 コレといって収穫はゼロ。 しょうがないので、近所で聞き込みをすることに。 「ああ、あの穴、金山跡なん。ほらあそこにあるで」 あっさり、教えてくれました。 1年越しの取材が5分で報われました。 感無量ですよ。 ついでに、←ここのコトも教えてくれました。 金山とはまったく関係なく、 金山(かなやま)温泉という名の旅館だったそうです。 風呂小っちゃ! |
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というわけで、やっと到着です。 コレは・・ものスゴイ。 アチコチで防空壕とかに潜り込んで来ましたけど、 ココは侵入不可です。 落差が20mはあるに違いない、 アリ地獄のような穴が開いてます。 ホントはちょっと降りてみたんですが、 壁が崩れて危うく遭難するトコでしたよ。 金が出ると聞いて踊った連中の、 ガッカリ感がヒシヒシと伝わってくる大穴。 人間の業を象徴する遺産でした。 姫路市さん。お願いだから埋めないでね。 死ぬほど危険だけど。 |