八重鉾山
(やえぼこやま)
場所・姫路市四郷町山脇

江戸時代の士農工商じゃありませんが、
いつの時代も下に見られてしまうのが商人(あきんど)

今はそんなことない?
そりゃ、日本のほぼ7割以上の人がサービス業に従事してるこのご時勢、
ほとんどの人が自己批判状態になっちゃいますからね。

ただ、戦国というバーバリアンたちが闊歩する時代においては、
江戸時代より風当たりが強かったのも確かでしょう。

実際、数々の武勇伝に彩られた戦国武将の中でも、商いで成り上がってきたヤツは
斉藤道三の他は、目ぼしいのがいないのもその根拠じゃないでしょうか。
(秀吉なんかも怪しい逸話でちょこちょこでてきますが)

宗教関係は結構、いるんですけどね(自主規制)。

って、思い出してください。

いるじゃないですか。
播磨にも一人(わざとらしい)

という訳で、今回は目薬の木という
日本にしか自生しない怪しげな樹木を使って一儲けをたくらみ、
家老までのし上がった黒田家
の中でもトップエース、
大河ドラマになっても、生涯一人の女性と添い遂げた以外に
ダーティーじゃないとこが見出せない黒田官兵衛の活躍っぷりをご覧あれ。


正直、肩身狭かったと思いますよ、はい。
戦国当時、
黒田家は小寺の家老衆の中では、一番のペーペー。

余所者でしかも
お金にモノを言わせて出世したとなれば、
針のむしろってモンでしょう。

そりゃ、お父さんやおじいちゃんはいいですよ。
自分の力で勝ち取った自負があるでしょうから。

その点、親の七光りで家老になった官兵衛の
心労たるや、
後世、ハゲになったのは、
このせいじゃないの?

と勘繰るほどです。

←さてコチラは、八重鉾山

たぶん官兵衛いじめの急先鋒だったであろう、
山脇六郎右衛門の守る、
山之脇構居があった場所です。
取り敢えず登ってみましょう。

うん、登りやすい山道。
整備されている割に人気がないのが気になりますが。

ともかく、この場所は四郷町
本拠地である御着城の目と鼻の先。
しかも、市川を渡ろうとする輩を、
見張る絶好の位置にあります。

山脇.くんに対する
領主である小寺氏の信頼が幾許のものであったか、
想像にたるでしょう。

対する黒田くんは姫路城。
今でこそ世界遺産と、
←こんな寂れた山では比較になりませんが、
当時でいえば、中間地点の関所的な役割だった姫路城と、
ここの扱いの差は歴然。

意見するのもおこがましい立場
だったに違いありません。



きっと、辛酸を舐めてジッと耐えていたんでしょう。

「この恨み晴らさでおくべきか」

とか唱えながら爪でも噛んでいた
黒田くんに転機が訪れます。

大河ドラマでめちゃくちゃ美談にされるであろう、
青山の合戦です。

※※※

しかし、休憩所もこの荒れよう、
しっかり整備されているのに、
地元民はなかなか入ってこないんでしょうか?

ご主人様の元ご主人様の分家と、
ご主人様の元同僚の挟み撃ち
という
穴居人も何書いてるかわからない青山の戦いにおいて、

きっと掃いて捨てる程度の存在だった
黒田くんは、勝てる望み薄の
最前線に送られました。

単純兵力差が10倍。

もち、重臣の山脇くんは後方待機ですよ。
領主を守る最後の砦ですからね。

捨て駒とは違うのですよ。

※※※

さてあっという間に山頂。
八重鉾山(62m)からの眺望。
何も見えねえ・・・

やはり地元の人から愛されてないんじゃろか・・・
姫路の市街地が一望できる好立地なのに・・・

それこそ、黒田くんの姫路城も
しっかり見下ろせるのに・・・

青山の戦いは山脇くんと黒田くんの中に、
決定的な差を生むことになります。

なにせ黒田くん、勝っちゃいましたから。

最重要地点に陣取っているとはいえ、
何もしなかった山脇くんと、
最前線で活躍し、
ご主人様の元ご主人様の分家と、
ご主人様の元同僚(もういい)

を打ち負かした黒田くんとじゃ、比べ物にならないのですよ。
今度は俺がイジメられる・・・・

そう思ったのかどうかは分かりませんが、
山脇くん、焦ります。

戦国が始まる50年ほど前から、
下克上先取りしていた播磨の武将にとって、
戦戦兢兢だったことでしょう。

いいとこを見せなきゃ・・・

どう考えても不器用そうな山脇くんは、
誰から唆されたのか、
起死回生の妙案を思いつきます。

※※※

←余談ですが、ここ、山道の途中にこんなものが。
所有者を具体的に示してる山って意外と珍しい。
それは当時、飛ぶ鳥を落とす勢いだった
織田のヤンキー集団に密通すること。

うまくいけば、周りのほとんどが織田につくなか、
毛利氏に乗っかって行こうとする、
時流の読めないパープリン
主君のエスコートもできるし、

青山の戦いで
織田方についた武将をコテンパン

にした黒田くんの鼻も開かせるというものです。

俺って天才!

きっと、やる気満々に違いありません。
あからさまにやってなきゃ、
主君の小寺氏がソッコーで、
裏切り者としてぶち殺しにくる
なんて事はありえませんから。

しかも討ち手は黒田くん
山脇くんの無念や想像にかたくありません。

だって黒田くんきっとこんなカンジだったんですから。


何せこの1年後、山脇くんを始末しておきながら、
いけしゃあしゃあと「織田につこうよ」
小寺氏を説得してるんですもん。

怖い怖い。
さらに怖いといえば、

一体どうやって密通しているのがバレたんでしょう?
確実な証拠がない限り、筆頭家老が誅殺されるなんて・・・

さて、そこでヒントになるのが、
山脇くんと密通してた織田方の出先担当が
羽柴秀吉だったということ。
秀吉といえば・・・・

もうお分かりですね。怖い怖い。

こんなカンジですね(しつこい)

今から、大河ドラマが愉しみですね、はい。

※※※

←またまた余談ですけど、
市川沿いの道が整備されていなかった頃、
よく子どもたちがこの崖から市川へダイブしていたとか。
天然の飛び込み台として人気だったそうですが・・・

60m級って高すぎね?
さて黒田くんの復讐にかまけて、
山のことがすっかり余談扱いでしたけど、
山がヤケに整備されていた理由が
麓まで降りるとわかります。

この古墳、宮山古墳の存在です。
ここの恩恵で山全体が整備されたんです。

何せ、国指定重要文化財

五世紀後半の築造で直径30メートルの円墳。
埋蔵物もワンサカでる、
播磨で最も貴重な古墳だったんです。

http://www.city.himeji.lg.jp/maibun-center/pub_miyayama.html

こんな立派な施設まで建てちゃうぐらいですから。
姫路の箱物施設の中で最も人目に触れないであろう
姫路市埋蔵文化財センターです。

ここの事を知っているかどうか、
是非、アンケートの一つでもやってみたいもんです。

一般市民はまず知りません(確信)


穴場スコア
「ダブルボギー」クラス

よろしければ一度ハマッてみて下さい。

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撮影:2008.4by 穴居人