香寺・豊富
(なだぎくしゅぞう)
場所・姫路市手柄
HP ・灘菊酒造(株)

小学生の頃に行った社会見学を覚えている人!

普段は高い塀に囲まれている謎の巨大施設に、踏み込んでいく時のドキドキ感。
素朴な材料から、次々と行程を経て見慣れた製品に近づいていく時のワクワク感。

たとえペンキみたいなどぎつい色の液体がパンに練り込まれたり
煙突から子供が見ても身体に悪そうな煙がモクモクと出ていたり
としても気にならない位、冒険心をくすぐったのではないでしょうか?

しかしいつも同じ疑問がつきまとったのでは。


都合のいいトコだけ見せてんじゃないの?



雪印
だって不二家だって社会見学を受け入れてたハズですからね。

3秒ルールとかは小学生の前では絶対に見せなかっただろうし。

フランス王朝みたいにワケわからん位、開けっぴろげでなくてもいいですが、
(革命で倒れるまで伝統的にベッドの中での秘め事から、出産でさえ一般公開していたとか)


やましいトコなんかないんじゃ。何処でも見てみぃ!



位の勢いが欲しいトコロです。

というわけここ、灘菊酒造。

そもそもすらありません。

逆に塀がほとんどないので、
かなり立地が解りにくい灘菊酒造。

地図で調べても住宅街の一部分となっていて、
正直、何処にあるんだ!?
というカンジなので、目印は此方。市役所から手柄方面に
ぬけて左手を見ているとこの赤いバスが見えてきます。

一応、灘菊のシンボルだそうで、5時までなら中にも入れます。
2階にもキチンと入れる親切仕様。
さっそく行ってみました。

・・・・社長以下会社役員がそろい踏みで会議中。

・・・・失礼しました。
さて入り口。

正月明けすぐに訪れたので、まだ雰囲気が残ってます。

ホントに入っていいの?
正直これだけあけぴっろげになっていると、
入るのにも逆に勇気がいりますね。
予約をとってきているんですが。
ようこそ!ようこそ!

とか書いてあるので、とりあえずズケズケと進んでいきます。

しかしばったりと従業員と遭遇。

ピンチです。

しかし軽く会釈されて、
「いらしゃいませ」
と笑顔で返されました。

・・・・我々のような侵入者には慣れている模様。
心配して損しました
堂々として行きます。

ここが灘菊の中心。

明治43年創業当時の酒蔵が建ち並ぶ姿は、
結構壮観です。

しかもほとんど出入り自由。

芸能人のお宅潜入ってなカンジで、
好奇心をくすぐること請け合いです。

調子にのって裏手にも回ってみました。

洗濯物が干してあるw

生活感溢れてます。

「ここは入らんといてな」

さすがに怒られてしまったので退散することに。

さて売店にいる店員さんに話しかけます。

今回のメインイベント。

五感で楽しむ酒蔵見学会」

の始まり。普段は日に4回見学会を催してくれているのですが、
1〜3月末の限定期間、非公開の甲蔵にまで足を踏み入れることが出来るのです。

コレを逃さずにはいられないっ!

案内係がやってくるのかと思いきや、
売店の店員さんがおもむろに案内し始めてくれます。

店はほっといていいんだろうか・・・
かなり気さくな店員さんで、好感度大

さて一応、食品を扱う施設に入るということで
白衣に着替えます。
襟首に「なだきく」と可愛く書いてあります。

ん?「なだきく」?
・・・・・クリーニング屋さん・・・・
読み方間違えるのは失礼ですよ・・・・
(正しくは「なだぎく」。店員さん確認済み)

酒蔵の入り口に吊り下がっている
丸いモノは何だろうと思った方。

あれは実はお酒が出来上がる目安なんだとか。
青々とした稲で作り黄金色に色づく頃には、
お酒も丁度搾る時期というわけです。

つくづく昔の人の試行錯誤には頭が下がります。

そもそもお酒だって
唾で発酵させていた時代もあったわけで、
美味しいものを作るところにアイデアは必須ですな。

さてここからは普段は一般公開されていない
酒造りの本場、
甲蔵(きのえぐら…甲の時期に完成したからだとか)
の中です。
「ここは土足であがってください」

珍しい標識を発見してついほくそ笑んでしまいます。

しかしものすごく天井が高い。
各階ごとにいわゆる中2階があるそうです。
ちなみに高いトコロの方が気温が安定して、
お酒にはいいらしい。

立派な業務用エレベーターもありますが、
ほとんど使われていないとのこと。
数10kgに及ぶ蒸し米も階段を担いであがる。
何でもエレベーターだと冷めてしまって味が落ちるんだとか。

従業員の苦労が偲ばれます。
しかし・・・高いな。
さて運良くしぼりに立ち会えました。
ホントに運が良かったみたいで、
「お客さん、運がいいですね」
と店員さんが何度も連呼してました。

怪しげな宝石とかを売りつけられるワケじゃない
ので素直に喜ぶことに。

ってか大喜びですよ!
「飲んでみます?」と差し出された絞り立て清酒。
正直、リキュール系の甘いお酒が好みなので、
日本酒は敬遠気味
だったんですが・・・
めちゃ美味
です!!

しつこさのないストレートな心地良さと
ほのかな酸味が相まって、もう絶品!

市販のお酒ではちょっと味わえない不思議な感覚のお酒。
日本酒に興味がふつふつと沸いてきましたよ。
まあ、そもそも興味がないくせに、
見学
に来るなって話なんですが。

これからの時代は日本酒ですよ!
とまあ、半ば興奮気味に今度はもろみも見せてもらえることに。

白い表面から発酵の証拠ってなカンジで、ポツポツと浮き出る泡に、
童心に戻ってちょい感動。

すると気になるものを発見。
よくみると樽にホースが繋がってます!
見てはいけないものを見たのでは・・・
文字通り・・・水増し?

恐る恐る杜氏さんに直接質問。

丁寧に帰ってきた答えはこちら↓

樽の温度を一定に保つ為に水を通しているそうです。
樽が二重になっているわけです。
酒造りには寒さが肝心らしく、
東北が羨ましいと嘆いてらっしゃいました。

しかし杜氏さん・・・どうでもいいですが、
社長と瓜二つですよ。
血が繋がっているのが聞かなくても解ります。
というわけで大興奮のまま、白衣を脱ぎスタート地点へ。

ここからは試飲タイム!自転車でやってきているので、
飲み放題です(道交法違反なので押して帰りますが)

旨い!
正直、焼酎は好みの関係であまり飲めませんが、
普段甘党を気取っている僕が、
お猪口とはいえガバガバ飲んじゃいました。
笑顔で注いでくれた店員さん。
相当図々しい客だというのに、嫌がる素振りもみせません。
出来た人で助かりました。

そんでもってオススメはここの奈良漬け
奈良漬けといえば、本場でよく食べましたが、
酒の匂いが濃すぎてあんまり好きになれませんでした。

ところが此処の奈良漬けは酒の風味は生きているものの特有のしつこさがありません
かなり猛プッシュです。

さてほろ酔い気分でホクホクなので、
もうしばらく散策してみることに。

今は焼酎の熟成させる為の倉庫となっている蔵の中には、
社会見学必須イベント。
昔使っていた用具見学もみっちり用意されています。
しかも一切、レプリカとか書いていない、
混じりっ気なしのホンモノ仕様
場所が場所だけに説得力があります。

団体さん向けの宴会場に辿り着きました。

なかなかこれも雰囲気があって好印象です。

なんでも「酒蔵で結婚式をしよう!」キャンペーンも
開催中だとか。

年に数カップルは実際にここで挙式するらしいです。

酒飲みの友人に密かに奨めてやることにします。

酒蔵を回って一つ気になることが。

各酒蔵には何故か姫路城に関する絵が飾られているのですが、
これが結構、興味深いものばかりです。

この絵は三の丸広場に練兵場があったときのでしょうか。
その他にも姫路城図解図だとか、
歴史資料館にもない
ような活き活きとした
絵画の数々が愉しめます。

これだけでも訪れる価値はあるかも。


穴場スコア
「アルバトロス」クラス
僕はまだ訪れてませんがこの分だと料理の方も期待できそう。

よろしければ一度はハマッてみて下さい。

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撮影:2007.1 by 穴居人