(たけのもりじんじゃ)
場所・姫路市船津町
自分の国が戦争に勝ったらうれしいですか?
今の日本じゃタブーっぽい質問ですけど、
ほんの70年前まで、神様に感謝するぐらい喜んだ時期がありました。
日本人は慎ましやかだった?
そんなはずがないじゃないですか。
どこの国でも同じ。
日露戦争の折なんか姫路城に向かって祝砲をぶっ放すようなお祭り騒ぎですからね。
当時は世界中が陣取り合戦の戦国時代。
戦勝=自国の利益=自分の利益にもなる
となれば、強制的に買わされた馬券でも勝ちゃ官軍ってカンジで盛り上がるのは必然です。
もっと勝てば・・・ムフフと欲が膨らむのもわからない話じゃない。
そのおかげで意気揚々と突っ込んだ太平洋戦争では見事に大負けして、
今までの勝ちを全て手放して借金を背負う典型的なギャンブラーの転落と相成ったわけですが。
神社でなぜ、戦争の話なのか?
その謎はすぐ解けますw
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姫路市船津町。 知人や仕事でもないと、 一生縁がなさそうな田園風景の中に、 竹之森神社はあります。 田園に浮かぶように建つ神社。 けっこう遠くからでも目立つんですよね。 播但道からでも気合いれりゃ充分見つけられますよ。 |
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うわっ、信号もない交差点やのに、 止まれが人間用や。 それぐらい、車通りは少ないってコトですな。 この細さじゃすれ違いも出来ませんしね。 一応、駐車場らしきものもあるのだが・・・ 地元のものを思われる車が占拠中。 車じゃ行きにくいだろうな・・・ |
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祭神は何故か、天照大神(あまてらすおおみかみ)。 神明神社の祭神であることの多い 神道の中で最もメジャーな神様ですが、 自分の部下がとても18才以下には見せられない方法 (バイオレンスとエロティックの両方で) で殺されたのに(正確には事故?)、いじけて仕事を放棄。 たちの悪いニートみたいな姑息な方法で 世間に背を向けた気持ち悪いおばちゃんだったりします。 あの十束剣(とつかのつるぎ)を 歯でぶち割った女傑のすることとは思えませんね。 姫路では天満神社と大歳神社の隆盛のおかげで、 マイナーな神様となってますが。 |
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そもそも天照大神って あんまり軍関連なイメージがないんですが・・・ 何せ戦う前に逃げ出したビビリ・・・もとい、 どっちかっていうと平和の象徴ですもんね。 何せ太陽神ですよ。 南アメリカの世界を7回滅ぼしたヤツとか、 エジプトの相手がいないから 子作りを一人でしちゃったようなヤツ (何をしたかは自重)とは違うんですよ。 と、思ってたら、天照大神は天皇と同一視する 考え方もあるんだとか。当時は現人神やったから、 それに絵馬を奉納するというコトか。 ちょっと納得。 |
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さてこの竹之森神社の特徴。 それは実はかけてある絵馬なんです。 ←神社の天井に飾られている、こんなのですな。 こちらは姫路の神社ならあちこちで見ることが出来る、 五条大橋での弁慶と牛若丸の決闘です。 そもそも絵馬とは、 願掛けしてその願いが叶ったときに、 神様に「ありがとねっ」と感謝をこめて奉納するモンです。 そもそも源平合戦が奉納される理由は、 絵馬の定義からはよく分からないですよ。 それよりもっと・・・・ |
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←こっちの方が分かりやすいですよ。 何せ「日中戦争出征記念」ですからね。 そう。この神社。 戦争関連の生々しい絵馬が奉納されてるんです。 勝っちゃいましたっ! 神様、ありがとっ! ってなカンジで。 中には 「敵の団長を斬る」 なんて直接的な表現のものまで。 血糊なんかは神社的にセーフなのか? |
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日清戦争なんか、よっぽど嬉しかったのか、 2枚目も奉納。 戦費を丸々賠償金でまかない、 自国の戦死者の4倍も殺しまくり、 韓国併合を成し遂げたとなりゃ、 洒落にならない大勝ちなわけで、 浮かれる気持ちも分からいではないですが・・・。 |
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で極めつけはこちら! この後、軍神として祀られてしまう 東郷平八郎ですよ。 日露戦争といや、この人になるわけですな。 残存兵力15分の1という損耗率でいきゃ、 全滅と判断されてもおかしくない激戦だった 203高地における旅順攻略戦をさしおいても、 やっぱこの人になるわけですな。 ってかこの人、ここには合祀されてないよ。 |
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油絵らしきこのリアルさ。 もう絵馬なのかどうだか、わかりません。 しかもコレ、東京の東郷神社に オリジナルがある模写だったりします。 旗艦三笠での構図から、 人物の配置までまるっきり一緒。 コピー機のない時代に、 気合の入ったことをしたもんです。 オリジナルと違いを楽しむのも面白いかも。 |
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境内には他にも数枚の絵馬がかかってます。 しかし戦争絵馬のインパクトが強すぎて・・・ 何せ「姫路の神社」という、 マニアックな書籍(愛読書)には、 「変わった絵馬がある」 と書かれていただけでした。 変わった絵馬=戦争絵馬 のことやったんがアリアリと分かるってもんです。 |
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文政の頃の石灯籠がここで一番、古い遺物。 絵馬もそうなんですが、 ここは全て保存状態が行き届いてます。 地元の人の頑張りが垣間見えますな。 しかし太平洋戦争の奉納絵馬は、 ここにはありません。 (まあ、願掛けが叶わなかったワケですから当然) ですが、絵馬職人があの近代戦を、 青い瞳の西洋人をどう描くのか、 ちょいと興味はありました。 まあ、けっして もう一度やって欲しい という意味ではないのであしからず。 |