(かいぐんひめじこうくうきち)
場所・加西市東笠原町〜鶉野町・北田池周辺
姫路と名乗りながら、加西市のど真ん中。
でも、正式名称だから仕方ありません。
姫路の基地なんですよ。此処は。
普段は(穴居人の周りのごく一部)こう呼ばれています。
鶉野防空壕群。
・・・群ですよ!群!!
よもや、防空壕に群をつけられる日が来るとは、思っていませんでしたッ!
何せ、60年以上前の負の遺産ですからね。
姫路市内じゃ、野里の上山防空壕や、青山の桜山防空壕、八家の防空壕など、
かつてあったけど埋められて現存してない連中ばかり。
もしくは、夕陽丘の防空壕のごとく、民家の庭先に幽閉されて、
人の目に触れることなく崩れるのを待つのが関の山。
その防空壕が群!
ホントにワケが解らないぐらいワンサカあります!!
いやぁ!さすが、民家の地下に今でも地下室として利用されている地下壕が現存する福崎の隣町!
入り口は埋められているものの、隠れキリシタンの地下礼拝堂が現存すると思われる町、加西ですよ!
こんなの公開していいのかって?
心配無用。
だってこの場所、元々市役所の展示物を見ながら探り当てたんですから。
言うなれば、日の丸公認ですよ(きっと違う)!
いやぁ、資料があるって何て素晴らしいんだろ!
しかも現存軍事施設合計50箇所って・・・
さあ、克目してご覧アレ!!群です!群!!!
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さあ、地図を頼りに目標の北田池に到着。 いきなり土取り場! 期待大ですね。 もともと穴の開いてる防空壕は、 穴を掘る手間の省ける発破作業には便利。 こういうのを見ると、ホントにありそうな気がしてきます。 |
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地図によると、北田池を囲むように、 防空壕が密集しているハズ・・・。 写真は秋頃なんですが、 池の周りは一面の銀景色。 なんでやねん? と、10代の頃なら突撃特攻してたかもしれません。 大人になっちまうと冷静な目で見えてしまうんですよ。 その上をチラホラ舞う粘着雪製造機達が。 頭上を気にして歩くやら、靴が汚れるやらを リスクだと思っちまうのは、 心が薄汚れちまったよーな気分です。 今までネジがぶっ飛びすぎてた のかもしれませんが。 |
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速攻、発見しました! おおぅ!!これは感動ですなぁ!!! いろんな場所で、様々な65年前遺跡を見てきましたが、 ここまで保存状態がよいのは希。 いいぞ!!加西市ッ!! ド田舎でアリガトウッ!!!! (感謝www) |
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中も、↑ごらんの通りの保存状態。 これならWW3になっても実用的。 逃げるなら、田舎です。 (いろんな意味で) そのすぐ目の前には、 倉庫と化した掩体壕も! |
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少し行けば、 神戸大学大学院農学研究科 附属食資源教育研究センター に到着。 舌噛みそうな名前のこの施設の中にも、 見渡すだけで数個、防空壕らしい姿が確認できます。 何でも話によると、研究棟の地下にも 当時の施設が残っているとか。 出来ることならもう一度学生に戻りたいですね。 農業とか志したいですよ(真剣) でも、大学院なら最低8年・・・ |
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大学の敷地内は、 口蹄疫の為、立ち入り禁止。 泣く泣く侵入を残念することに。 いや、普段も私有地なんで入っちゃ駄目なんだけどね。 しかし、お気を落とさずに。 敷地に入らなくても、ワンサカありますんので。 姫路でコンビニ探す位のテンションで見つかります。 ちょっと畑に入れば、当時ものの防火用水槽が。 近くに落ちてた竹槍で水深をチェックしてみます。 65年間貯め続けた雨水がほどよく熟成しているのか 1m先ですらまったく見えない水たまり。 どうなってんのか興味は尽きないんですが・・ 4mそこそこある竹槍でも底に辿り着かない・・・ ・・・渇水時に期待しとこ。 |
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少し行けば、一般ピープルはまず入り込まない 山道も縦横無尽に走ってます。 一見、普通の道ですが・・・ |
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藪をかき分けりゃ、ごらんの通り。 何処歩いても壕に行き当たる、 穴好きにはたまらんごちそう村です、ここは! 涎、こぼれまくりでゲスよ! しかし、何処を歩いても壕に行き当たるのは、 当時としてはありがたかったに違いありません。 いざ空襲ってときに、 2km先に避難しろとか言われたら、 その場に穴掘って埋まってた方が、 まだ生存率が高そうですもんね。 |
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まあ、全部がご立派とも限りませんが。 中心地である神戸大学の敷地からちょっと離れると もう←この有様です。 軍の居住施設だけで、1200人収容可能ですからね。 そりゃ無数に壕も必要なんでしょうが・・・。 こんなトコを割り当てられたら、 その場に穴掘って埋まって んのと大差ないです。 |
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だって、中もこの崩れよう。 65年間の風雪で元気なくしてんのかもしれませんが、 爆弾の方がよっぽど苛烈なハズなんですが・・・。 この手彫り洞穴シリーズは 人気のない道沿いに延々とあります。 ↓↓↓↓↓↓ |
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中には頭上に貫通してるものも。 お天道様が眩しいッスよ。 素でも防空性能0なのに、 この穴に爆弾がホールインワンしたら、 目も当てられません。 いや、やっぱコンクリです。 土は薬師山の時も、思ったけど無理。 だって爆弾で木っ端みじんになるより、 悲惨な死に方しか想像出来ないですもん。 |
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そしてオマケに鶉野防空壕。 防空壕の内部構造がまったりと俯瞰できたりします。 これは、何処の防空壕でも見かけない 一押しポイントですね(誰にだ) 二つの入り口に、 ぐるっと回り込む通路。 入り口から避難場所まで爆風が 入り込まないようにする工夫ってわけです。 まあ風が入らないってことは、 空気循環も最悪に違いないケドね。 土の防空壕のイイトコがまったく見つかりません。 何かア・バウア・クーにボールで出撃させられる 新兵の気分でしかない・・・。 安価=命の値段 つくづく、いい時代に生まれました。 |
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そんな心許ない土壁洞穴に混じって、 一つだけ、こんな立派な御方も。 きっと大人気だったに違いありません。 ここに入れるかどうかで、 生死の境目出来るよーな気がしますもんね。 中にはちゃんと空気穴も完備。 この違いは何なんだ? |
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こちらは火薬庫(そう壁に書いてあるw)。 正直、人間様のお入りになる 壕よりも100倍ご立派です。 いや、コンクリが厚いよ。 安心設計ですよ。 |
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そのすぐ下には、 飛行機の部品を守るための倉庫も。 此処も超立派。 こりゃあれですね。 「御真影が心配なので、肉の壁になってきます!」 とかテキトーに言って、爆薬とかに紛れ込む方が 生存率あがるかも知れませんな。 |
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誘爆? このコンクリの厚さを見てからにしてください。 ファットマンやら、リトルボーイやらでさえ 耐えきりそうなこの分厚さ。 逃げ込むなら文句なしでココですよ。 空気穴はなさそうですケドね。 それにしても、 ここのコンクリを30%ぐらい分けてあげたら、 いたいけな洞穴暮らしの連中にも、 安心設計の我が家をプレゼント出来るとも思うんですが・・・ まあ、100億の戦闘機をホイホイ買える国で、 餓死する人間もいるんですから、 今も昔も変わらずです。 |
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ココにいると何見ても、当時物にみえる・・・ っていうか、全部本当に当時物なんですがね! いや、確証はないんですが。 でもそうとしか思えない。 畑の真ん中に←こんな壁いるわけないですしね。 何せ格納庫だけで10棟、 紫電466機に紫電改44機も生産してた巨大施設なんで、 何があるかわかりません。 当時の資料は、 気の利かない連中が火にくべたらしく 現存していないので、 「これ当時物!」 と言えば、そうなる位の勢いですが。 |
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その中でも最大の施設が此方。 未だに軍事施設(市町村に譲渡寸前ですが) の鶉野飛行場跡でございます。 ほとんど使われてないので、この有様ですが。 主にジョギングやら、 ラジコン飛行機の練習場やらに使われてるみたいです。 これこそ平和利用。 いや、不法侵入なんですけどね。 多分、日本一入りやすい 自衛隊施設と言って過言じゃないハズ。 |
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側には有志の方々による、平和祈念の碑も。 内容はというと、 「昭和17年。 日本がまだイケイケだった頃に、 海軍姫路基地は創設されました。 まあ姫路じゃ満足に滑走路を引けるトコもなかったんで 気軽にこの場所が選ばれたんでしょうが、 戦況が悪化して本土爆撃が始まると、 まるで、虎の子を得たように重宝されました。 たった30時間の訓練の為に。 ただ敵に突っ込むにしても仮免とれるかなって位の、 訓練で送り出されるのは 慚愧に堪えない心地だったことでしょう。 南無南無」 ってなカンジです。 いやはやお腹いっぱいです! 感無量ッ!! でもこれだけじゃ、終わりません。 |
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少し離れた池の中にも、ごらんの通り。 1や2とかみみちい事は言わず、 2、30のペースでアチコチに壕があったりします。 しかもまだほとんど未調査。 鶉野を駆けずりまわれば、 伝説の壕に匿われた 紫電改が見つかるかも知れません。 狙い目は175沿い??? |
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そんな65年間ほっといてくれて有り難うっ! な奇跡の戦跡、海軍姫路基地は最近、 最大のピンチに見舞われてます。 何故だか、 ショッピングモールにしようという構想があるとか。 イオンで充分なのに。 超駅前のアスティアでさえ ゴースト商店街化したのに(今は図書館に改装)、 人口数万人のド田舎に、 ポンポンとそんなものいらない!! 姫路市民も吠えましょうっ! 貴重な戦跡の上に 第二のひろめ市場が出来ちまう前に。 |
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今も着々と失われつつあるので。 奉天池(もちろん、あの奉天ですww) のすぐ側にあった銃座が一年そこらで↑の姿から、 ←なことに・・・・! 何の意味もなく土の下に埋められちゃいました・・・。 やはりここも失われていくんでしょうか・・・? 加西市長に立候補したい気分で一杯です。 |
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そしておまけ。 肝心の地下防空壕の入り口は、 神戸大学内にあるので立ち入り出来ないのですが、 その外側にも一カ所口を開けています。 入るのは、正直オススメしませんが(色んな意味で)、 冒険に溢れたこの感動が ここを残す原動力になってくれればと思います。 一応、見るだけで、ね。 ヨロシク。 |