千石池・笹峠
(せんごくいけ・ささとうげ)
場所・姫路市青山西・青山南

ぜんかいまでのあらすじ〜

自分の保身の為、部下の命を投げ打って、
10倍の敵に無謀な戦いを挑む黒田くん。
数に劣るのだから、正々堂々なんか、やるわきゃない。

持ち前の卑屈さをバリバリに発揮して、
渡河した直後の敵に、嫌がらせのようなタイミングで絶好の奇襲をかけるが、
あまりのタイミングのバッチリぶりに、被害の拡大を恐れた赤松軍は撤退。

追撃する戦力も持たない黒田くんは、その結果がどういう事になるのか、
嫌になるほどよく知っていた・・・。

一ヶ月後・・・。

さあ、黒田くん、この一ヶ月生きた心地がしなかったでしょう。
何せ万全の備えの10倍の敵がやってくるんですから。

前回の奇襲と違い、ものすごいハードルがあがりました。
相手は渡河地点が黒田くんにとっての最終防衛線だと知ってしまった訳ですから。

就活生が面接開始が10時なのに、正午に目が覚めたぐらいの絶望っぷりでしょう。
正直、どこか南の島にでも逃走したい・・・・

山崎断層でもブルってくれないかなぁとか、不謹慎なことばかり考えてたに違いありません。
そんな黒田くんの淡い期待を裏切って、6月(もしくは8月)。

万全の警戒を期した赤松軍が青山へやってきました。
さあ、もう逃げられません。

この時にこそやっと、
土器山にある瓦山構を使ったでしょう。

だってもう
コソコソ隠れてる必要はない
ですからね。
残念ながら。

ともかく、この地を死守する為には前回と同じく
渡河し終わった時点を襲うしかありません。。

まあ、相手はそれを見越して
渡ってくるんですが。

悲しいケド。

※※※

←今回、押し寄せてくる赤松軍が陣を張った
小丸山。

昔探したときには、
微塵もヒントがなく往生した
もんですが、
今、二号線を走るとワンサカ
「ここです!」アピールしてくれてます。

まあ石碑がひとつあるなんですが。
所謂、ガッカリ名所ゆえ今までは
マニアックにも程があるスポットでした。

穴居人ですら記事に
するのを躊躇する
ぐらい。

それがこんなに陽の目を見るとは。
さすが、全国放送。
ゴールデンタイムに祭りの動画を垂れ流す
おっサンテレビとは訳が違います。

敵は3000。
さあて対する、黒田くんの戦力は500ちょい。
広峰を守っていた親父たちを
「それどころじゃない」
と無理やり連れてきても、
頭数で圧倒的に不利です。

え?10倍から6倍になってるって?

生身で18mのガンダムと戦うのと、
10mの鋼鉄ジーグとやり合うのどっちがいい?
と聞かれてようなもんですよ。

どっちも嫌ッス、と即答したいもんですが、
黒田くんは逃げる訳には行きません。
ってか・・相変わらず主家の小寺氏の支援すらない
人望のなさっぷり。

この頃になると、ドラマでフューチャーされまくりの、
櫛橋氏など、周りじゅう政略結婚先の
親戚だらけだったハズなんですが・・・

清々しいくらい
誰も助けてくれねぇ・・・


※※※

まあ、昔分からなかったのは、
この団地で隠れてたからなんですが。

実は、赤松軍が陣地にしてた小丸山。
実はもうありません
この団地を作る際に、
キレイさっぱり更地にしちゃったからです。
なので、当時の事を思わせる場所は、
今回紹介する千石池と笹峠だけになってしまいました。
なので、しゃあなし笹峠と千石池です。

ま、笹峠も埋もれる寸前ですが(後述)

このままだと自治会の名前で、
名残を惜しむことになるかも(切実)
我らが卑劣漢、黒田くん、
厭らしい脳みそをフル回転して、
戦いに備えていた事でしょう。

しかし、打つ手なし

ここ、小丸山から丸見えの
瓦山構に陣を張った時点で、
お察しなのです。

後はどれだけ
赤松側に被害をだすか・・・

負けるのは避けられないとしても、
損害が大きくなれば、
赤松側もこれ以上の侵攻は諦めるかも知れない・・

この一点にかけてました。
てか賭けざるを得ませんでした。

※※※

さあ、ご覧あれ!
地元の有志の手により、
昭和57年(30年前!)
建てられた顕彰碑がお出迎え。

大河に取り立てられた今ならいざ知らず、
信長の野望でおじいちゃんみたいな
顔グラだったマイナー武将の顕彰碑が、
私費で建てられているのはポイント高いです。

たとえ、官兵衛の初陣とか掘られてても。

23歳で初陣だったら、
当時の年齢的には引きこもりニートレベルですから
直したいんでしょうけど、
ガチガチ掘ってますからね・・・・

未明。
そんな黒田くんの一縷の望みは、
赤松側の夜襲という、
奇策でアッサリと打ち砕かれます。

優勢な側が、卑屈な戦法を取る。

それだけ、黒田くん達の目論見が
見透かされていた訳です。
竹槍に糞便でも
塗りたくってたんじゃないでしょうか?

(やりそう←槍だけに)

予期せぬ夜襲に、
重臣を何人も失うボロ負けっぷり
を期してしまいます。

よもや、全滅!?

そんなときでした。

英賀から、三木くんが救援に駆けつけたのです。
たった300ですけど、
ガン無視する親戚連中の中で、
妹の旦那の彼だけは死地にやってきた訳です。

まさに救世主。

夜が明けて、
赤松軍は悠々と小丸山に帰っていきました。
せっかく消耗を避けるために奇襲したんですから、
援軍と泥仕合を演じるのは、当然避けます。

もちろん追撃をかける余裕もありません。

敵が一枚も二枚も上手でした。
この時までは

※※※

その顕彰碑の裏にあるのが、
ゴルフ場。
姫路一の豪傑、レジェンド石見が心血を注いで
開発した一大レジャーランドのど真ん中に、
池ポチャ要因としてひっそり残されているのが、
千石池だそうです。

何でもこの戦いの最中、
流血で赤く染まり、「戦国怖いね」って事で、
千石池になったんだとか。
戦国時代って・・・
戦国時代と呼ばれたのは明治以降なんですが・・・
赤松軍は見誤ってました。
黒田くんの心底邪悪な性根を。

「今しかない」

被害を最小限にするための撤退。

それは、懸命な判断ではなく、
悪魔に諸手を挙げて大好物を
献上するよーなもんでした。

黒田くんが待ち望んでいたです。
壊滅寸前の黒田軍ができることと言ったら、
まあ真面目に撤収作業ぐらいだったんですが、
このネジのぶっ飛んだ暗黒卿は
舌なめずりをし始めました。

「今夜がチャンスだ」

※※※

今回の大河じゃ、まるまる一話使って、
尚且つ伏線貼りまくりで大切されてた藤の花も、
しっかり植えられてます。

黒田くん幽閉解放後の播磨なんか、
ほとんど知らない内に、占領されてたのに。

御着城攻防戦すらやらないって・・・
かなり武闘派だった小寺くんが戦いもしないまま、
哀れに落ち延びる様は呆然・・・。

姫路市民は怒っていいですよ。
この扱い。

何と、黒田くん、
現在の軍隊なら全滅判定食らいそうな
満身創痍の兵隊達を率いて、
夜の闇に乗じて、菅生川を渡河

小丸山に陣取る
赤松軍に夜襲をかけました。

黒田くん側の重臣が、
「出来る訳ないじゃん。
もうボロボロ。死んじゃう」

と宣うぐらい悲惨な状況だった連中からの反撃、
これはさすがに手堅い赤松軍も予想外でした。

とにもかくにも、小丸山を捨てて、
一目散に逃げていく有り様。

つまりここにきて
大逆転した訳です。


※※※

赤松軍が逃げたのが、この笹峠。

え、山田峠って書いてあるじゃん?
そこがややこしいとこなんですが、
明治30年に明治天皇が
福岡の大演習御親閲に行く際、
元々の笹峠の悪路じゃ馬車も通れねぇって事で、
大急ぎで山を掘り下げたんです。
それで誕生したのが山田峠。

それでもまだ跳躍バスの異名を持つ
悪路だったとか。

天皇の御車にわざわざ作った
ちんさむロードを走らせるとは、
姫路市民の懐の深さを感じるエピソードでやす。

バスが跳ぶ道なんて、
こんな歴史がなくても、
穴場の姫路の記事になったでしょうに・・・
もったいない。
(使ってる人にはたまったもんじゃないですが)
こんなサクセスストーリーを大河ドラマでは
何故かガン無視。

何故か?

戦国時代じゃ当たり前ですが、
逃げる赤松軍を前にして、
黒田くんは目をギラギラさせて雄叫びました。

「てめえら、皆殺しだっ!!」

後顧の憂いは絶たねばなりませんからね。
もはや全滅寸前の戦力で奇襲をかけた
黒田軍に躊躇はありません。

敗走する赤松軍を執拗に追撃。
その後、龍野赤松家が没落するほど、
主だった家臣を討ち取ってしまったわけです。

まさに根こそぎ。

大河ドラマじゃまだ
「命を粗末にしちゃイカン」とか
のたまわってた時期なので、
追いすがって皆殺しとかは、
さすがに荷が重かったようで。
ジャニーズのきれい好きにも困(自重)

※※※

ってことは、本当の笹峠は?

とお思いの貴方は鋭い。
実は山田峠が開通したおかげで、
笹峠は分断され道として消滅し、
戦国時代のまま、
半分だけ現存しているんです。

何せ車すら通れない悪路でしたからね。
この山田峠の標識の横っちょ、
見た目にただの農道にしかみえない
この道がホントの笹峠です。

ともかく、この戦いで、
ダーティー黒田くんは、
主君である、バーバリアン小寺の宿敵である、
赤松を撃退したばかりか、
播磨の勢力図すら
塗り替えてしまいました。

何せ、播磨は当時でも
ショボショボの戦力しかいません。
赤松とかで信長の野望始めたら、
1ターン目で死亡とかザラにある
ヘッポコ具合の中、
3000人の兵力を集められる龍野赤松は
どっちかというと軍事エリートで、
応仁の乱の遠因を作った浦上氏を滅ぼすなど、
それはもうイケイケだったわけで、
そいつボコボコにしたその衝撃たるや
陶晴賢を討ち取った頃の毛利氏並だったでしょう。

あくまでミニマムな地域限定の話ですが。

※※※

笹峠自体はなぜか、この池の周辺以外は
使われた形跡があまりありません。

いくら山道とはいえ、
ハイキング客ぐらいはいそうなモンですが・・・?

意気揚々と凱旋する黒田くん。
もちろん小寺家での発言力もあがり、
最早、誰も馬鹿に出来ない
小寺家の筆頭に踊りでた訳です。

大河ドラマでは赤っ鼻のねずみ男
みたいな扱いだった小寺氏ですが、
この時、古参の重臣を差し置いて、
武功のある黒田くんを引き立てるあたりも、
どっちかっていうと、
武闘派のイメージが見て取れるってもんです。

※※※

←何せ道々、この有り様。

そりゃ、歩行者もいませんって・・・

今までいろんな峠路を訪れてきましたけど、
これほど人家が近くて、
これほど荒廃してるトコはまあ、みません。

人っ子一人通った形跡なし・・・
ってかそもそも通れねえ・・。

最早、播磨では敵なし。
黒田くん、有頂天になっていたことでしょう。

「もう、俺の敵はいねえ」

自信満々だったことでしょう。
ただ戦争で成り上がるという事は、
戦いになれば
イヤでも駆り出される
ということです。
本人の意思に関係なく。

黒田くんをあざ笑うかのように、
敵はもうすぐ其処まで来ていました。

戦国最強の武闘派、
年中戦争上等の
ババーリアン織田軍団が。


迫る戦力は3万
今度は100倍
さあ、面白くなってきました!

※※※

反対側まで出ると、その理由も分かります。
山と民家を隔てる場所が、
ちょうど生け垣になっていて、
よっぽどの物好きでもない限り、
ここを行こうする人はいますまい。

それこそ歴史好きぐらいじゃないと。
NHKでもガン無視されていた悲劇の峠道、
マジで何もありませんが、
歴史の息吹を感じる為に是非、訪れてみてください。
運が良ければ、
落ち武者の霊ぐらいは出没するかも。
人気ないしね。

穴場スコア「トリプルボギー」クラス

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撮影:2014.05 by 穴居人