(おづざか)
場所・たつの市御津町室津 〜たつの市揖保川町馬場
2年前。
人生の中で正直、怖いものなんかないと思い込んでました。
此処に来るまでは。
かなりビビりましたよ。
何せ何の気なしに入り込んだ山中で、
↓突然、こんな光景に出くわしたんです。
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アクシデント! 呪われてるわけじゃないでしょうけど、 走行中にメガネのレンズが片方モゲました。 危ないっ・・・・七曲りに入る前でよかった・・・・ 先日、踏みつけたせいで メガネが歪んでネジが外れたようです。 近くにあった図書館で 輪ゴムとクリップを頂き、 応急処置(ネジ穴をクリップで固定する荒技!)。 これぐらいじゃめげません。 とりあえず山で滑落したらメガネは、 無事ではすまないだろうな・・ ともかく気を取り直して現地へと。 |
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まずは室津と大浦の間にあるコチラの墓地に来て、 手を合わせます。 「お騒がせします。 大目にみてやってください」 と願掛けしてみますが、 お地蔵さんとしては、 「そんなんやったら、来るなよ」 という気分なんでしょう。きっと。 此処にまず来たのはある仮説があったからなんです。 何故、墓地が廃棄されたのか? それは道沿いで立地のいい此処に、 墓地ごと移転したからではないか。 景福寺山や随願寺墓地のように古い墓地から、 新しい墓地へってワケです。 ・・・・と思っていたら、墓石の年代を見て唖然。 明治!? 廃墓地には太平洋戦争戦没者のお墓もあるので、 年代的には食い違ってしまいます。 う〜ん・・・。 |
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墓地の西側、尾津坂の入り口です。 ちなみに東側の道を登ると、 見事に行き止まるので注意。 そんな道を軽自動車が泥道に足をとられながら あがって行ったのが気になりますが・・・ 250号線を走っていて、 まさかこの道が山越えできる道なんて 思わないでしょうな。 基本的には岩見新道まで周るはず。 というより反対方向から降りて来た車は、 此処から浜国に進入しようとすると、 かなり危険なのでは・・・カーブミラーもないですし。 そもそもこの道を車で行こうとする 勇者はいるんでしょうか? 車高の低い車は即、事故&遭難するので要注意。 |
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ドコモのアンテナ塔を過ぎると、 道の様子が一変。 そうこれが尾津坂です。 薄暗い原生林の中の一本道。 ホラー映画でも導入部の演出が、 キーポイントと言いますが・・・こりゃ演出過剰ですよ。 クリスタルレイクの湖畔に迷い込んだような気分で、 ふと山の斜面を見上げると、 規則正しく石柱が並んでいます。 これは・・・もしかして・・・・ |
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やっぱりでした。 崩れた石段を必死こいて登ってみると、 墓石がズラリ。 ただ石段が崩れたのは最近なのか、 墓所自体は比較的、整備されていて一安心。 明治以前のお墓もチラホラありますが、 それでも参拝してくれる方がいるのは、 都会の墓地とはちょっと様相が違って 温かい気分になれます。 !!!っと油断していたら、 大きな穴に足をとられました。 何の穴かは深く考えないようにして、 先へ進みます。 |
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辿り着きました。 此処が2年前に逃げ帰った墓地の入り口です。 よく見るとかなり新しい花が供えられています。 朽ち果てたお墓に献花? もしかしたら、以前来た時は 整備が行き届いていなかっただけなのかも。 ちょっと足取りが軽くなってきました。 |
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すいません。大間違いでした。 むしろ夏になって悪化してます。 草が生い茂って、前が見えない・・・・ 目立つ目標物は墓石のみ。 踏み跡がわからないんで墓石を辿る、 ・・・考えたくないシュチュエーションになってきました。 |
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ようやくこの墓地の菩提樹らしき 巨樹の袂にまで辿りつきました。 ・・・・見ての通り雰囲気バツグンです。 2年前は此処で引き返したんですよね。 行く手を阻むうず高い草藪。 此処から先は未知の領域です。 ですが今度は引き返しません。 たとえ地面から白骨が剥き出しになろうと、 先に進んで見せます。 身体中にひっつき虫を纏わせながら、 藪をくぐりぬけます。 この先に何が!? |
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違う意味で呆然。 突然、今までの行程が嘘みたいに、 整備された墓地が姿を現しました。 これが謎の答え。 決してこの墓地は打ち捨てられたわけではなく、 この山自体が墓所だったんです。 村の焼き場が近代的な施設に移行するにしたがって、 便利の悪い山の裏側の墓地から、 道路沿いにどんどんと移っていった。 古い墓地は参道がコンクリート舗装されていない上、 訪れるものも少なく、藪の中に埋もれていってしまった。 景福寺山や随願寺墓地と、 同じシュチュエーションながら、規模が違ったというわけです。 |
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先ほどと打って変って歩きやすい山道を行くと、 かなり広範囲に耕地が広がってます。 いきなり墓地からカメラを抱えて現れた ものすごく怪しい穴居人に、 ネット張りをしていたご夫婦が声をかけてくれました。 「降りるなら、その細い道だよ」 親切なご夫婦の言葉には素直に従います。 実はこの夫婦に逢うのは2回目。 尾津坂入り口の墓地で出会った 軽自動車に乗っていた方々です。 つまりは助言のとおりに下れば、 墓地の入り口まで出られるという算段。 すんなりと下山できそうな予感。 |
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っと何故か旅館「きむらや」の裏手に出てきました。 目的地から結構遠い・・・・ でも室津漁港が一望できる好立地。 得したのか損したのか、判断が難しいトコです。 しかし此処にいたるまでにも、 山道沿いに散発的にお墓が建てられてました。 山中が墓地だという仮説を裏付ける証拠かな? |
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さて歩行者に優しくない七曲りを、 歩いて再び尾津坂へ。 前回よりも鬱蒼と茂った草むらの中に建つ火葬場。 扉は朽ち果て、中も崩れてしまっています。 興味深いのはこの火葬場のすぐ側に、 無縁仏慰霊塔があるということ。 室津が宿場町や色町として栄えたのと 関係が深いように思えます。 悲しい物語もきっとあったに違いない。 そんな彼らの物語が語り継がれる切っ掛けに、 この場所はこの先も此処にあり続けて欲しいと 穴居人は思うのです。 場所が場所だけに、 柄にもなく神妙な気持ちになっちゃいましたね。 |
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さて気を取り直して墓地を後にすると、 ひたすら轍のしっかりした山道が続きます。 正直なところ、展望はイマイチ。 しかも水はけは最悪で、途中から道=川の状態に。 マウンテンバイクにはつらい。 後輪のはねっかえりで、 髪の毛が泥だらけになっちゃいますからね。 背中が道路と同じ色に染まってるとかは、 基本的に日常茶飯事ですよ。 |
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あっという間に折り返し地点の鳩ヶ峰へ。 実際の室津街道はこの少し上にあったとか。 ・・・・というかこの上って街道とは名ばかりの、 只の山道なんですが・・・ 室津から山陽道に抜ける道ということで、 参勤交代の行列が通ったり、 シーボルトが訪れたりと、 かなりの要所であったようです。 それにしても切り通しって、 江戸時代とかに一人で通るには、 かなりの勇気がいったかも。 何せ山賊とかが待ち伏せするには、 絶好の奇襲ポイントですもんね。 |
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鳩ヶ峰を抜けると、びっくりするぐらい、 道がしっかりしてきます。 それにしたがって目に付いてくるのは、 道に沿って延々と張り巡らされた有刺鉄線と金網。 ・・・どんだけ厳重なんだ。 ダイセルの工場の敷地内ということですが、 2年前来た時は柵の内側に入ったかと思って、 「僕ってもしかしていつのまにか 不法侵入してるんじゃ・・・」 と焦ったもんです。 しかしこの坂カーブが緩やかな上、勾配があるので スピードの出し過ぎに注意です。 危うく有刺鉄線に磔になるトコでした。 |
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さて下界に帰って来ました。 尾津坂の終点、近藤池です。 冬になると5000羽もの鴨が飛来する、 揖保川町随一の観光名所がお出迎え。 ともかく2年前に残された謎を、 恐怖をかいくぐって見届けた達成感に充実してます。 ・・・・と思っていたら、 帰り道に廃寺を発見してしまいました。 山崩れで倒壊? この山で何が!? また新たな謎を宿題に、しぶしぶ現地を後にします。 何せもうすぐメガネ屋が閉まってしまう時間なので。 |