(こやま)
場所・姫路市大津区大津町
さあて、またまた見つけてしまいました。
地下工場。
と言っても、またしても地下工場建設未遂ですが。
でも今度の獲物は、新日鉄広畑製作所の軍需施設!
そう夢前川の流れを会社の都合で付け替えたり、
青山に会社専用のダムを作らせたりしたあの新日鉄広畑製作所です。
上山防空壕はともかく丸山公園では、壮絶に空振り。
防空壕自体が崩落してしまっているというすさまじい有様でしたが、ここ小山は一味違います。
崩落どころか、山ごと姿を消す寸前。
防空壕調査に行ったら、もう山に近づくことすらままならない状態でした。
これからドカドカと新興住宅が山を占領していくに違いない・・・・
というわけで、今回は在りし日の小山の記憶を残すと共に、
此処にいずれ住む人へ、「昔、この下には・・・・」ってなカンジで、
ささやかな嫌がらせをこめて記事にしてみました(恨み節)。
![]() |
さて、ぶっちゃけ見てやってください。 ←これが小山の現状です。 ちなみに後ろにある緑の山肌は小山じゃないですよ。 手前の瓦礫の山が小山です。 さあ、察してやってください。 ホントに何もありません。 もはや、ただの工事現場と化してます。 |
![]() |
この有様ですが小山は、 あの播磨国風土記にも登場する 由緒の深い山でもあります。 風土記によると、丁(よろ)村を開墾中の、 兄太加奈志(えたかなし)と 弟太加奈志(おとたかなし)兄弟の召使いが 何故だか天秤棒で兄弟のご飯を運んでいたところ、 ほんとにアホらしい話、天秤棒が重さで折れてしまい、 鍋が落ちた所を「鍋河原(天満)」、 後ろの荷が落ちたところを「箱山」、 そして前の荷が落ちたところが「小山」になったそうです。 天秤棒で運ばなけりゃならん大飯食らいの、 アメ車並に燃費の悪い兄弟に仕える 召使いのその後がホント心配です。 空腹の時は正常な判断が出来なくなりますからね。 (正常な判断→棒が折れるぐらいの量を食うなよ) |
![]() |
さて工事現場にいざ潜入! と踏み込もうとしたら、 いきなり警備員に止められました。 玄関口に警備員を配置するとは・・・ 結構気合の入った工事のようで。 しかし本当に跡形もないな・・・。 |
![]() |
とりあえず、侵入経路を探すべく、周りを散策。 面積は3000坪もあるそうですが、 ものの5分で一周できます。 ヌヌ・・・一点の隙もない完璧な防音壁だ・・・・ さて1942年、太平洋の橋頭堡をほとんど失い、 本土空襲が現実味におき始めた時期、 当時、バリバリの軍需工場だった 新日鉄広畑製作所も対策を余儀なくされてました。 桜山防空壕もその一環だったんでしょうが、 いかんせんあの山奥では工場は・・・・ そこで臨海部にほど近いこの地に 白羽がたったに違いありません。 |
![]() |
そこでさっそく憲兵を連れて所有者に買収交渉。 話はスムーズに運び、 「捨て値」で売ってもらうことが出来ました。 まあ、まだ金を払ってもらっただけ 運が良かったってモンです。 しかし←の岩盤は思いのほか頑強で、 計画半ばで破棄されました。 今でもこの様子を見ていると、 まあ、有り得るかなと思いますね。 山を切り崩してるだけなのに、 ほとんど土砂が見当たらない・・・・ |
![]() |
岩、岩、岩。 とりあえず無残な姿で放置された小山は、 戦後になって意外な形で脚光を浴びることになります。 新たな受難と言って差し支えないんですが。 時代はバブル。 「担保さえあればいくらでも貸してくれる」 そんな時代に、地元の業者が ここを担保に7000万を銀行から借りることに。 もちろん、この山にそんな価値があるはずもなく・・・ |
![]() |
バブル崩壊と共に、当然のごとく 不良債権物件になっちゃいました。 しかし不良債権ともなれば、銀行の経営にも差し障る ホントのお荷物。 そこで銀行は裏技を駆使して、 この山は不良債権じゃないってことに、 しちまおうと考えました。 その裏技とは・・・ 「工事中の担保物件は不良債権から除外される」 つまり、造成中なら価値は決めれないってワケですな。 というわけで不良債権問題のほとぼりが冷めるまでの間、 ほとんど無意味な工事が、 続けられることになっちゃいました。 |
![]() |
おかげですっかり瓦礫の山になった小山。 まあ、そんな小山にトドメをさしたのは、 確実に目の前の大津イオンなんですが。 これでもか! というぐらいな目に遭って来た小山。 これからは住宅地の下敷きになって、 忘れ去られていく運命の小山。 涙なしでは語れないその姿を、 大津イオンに行った際は、是非ご覧あれ。 |