(たんがしま・そのに)
場所・姫路市家島町宮男鹿
姫路からおおよそ20分。
やってきたのは思いもよらない異世界でした。
というか、島自体全てが採石場。
面積は、4.57平方km。
一時期、日本で一番大きい住所との豪語してた本町68番地のたった5倍の面積。
島を一回りすると約10km。
浜手緑地を端から端まで歩くよりも短い。
人口は約150人。
中学校の全校生徒よりも少ない人数しか住んでいない。
とまでくればデータ上じゃ、何もなくて当たり前の立地に、こんな冒険が待ち受けていようとは!
「男鹿島その1」で紹介したのは、島のほんのまだ3分の1。
まだまだ島の魅力はこんなものではなかったのです(いろんな意味で)
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と、言っても相変わらずの採石場。 此処は、海に間近で雰囲気が違うかな? まあここまで来ると、さすがに食傷気味でして、 どれも同じに見えてきますが。 採石場マニア(いるのか?)とかなら、 機材の年代とか当てっこしてさぞや楽しめるんでしょうが、 穴居人の神経は不幸にも常人のようで、 砂漠をさまよっている気分になってきました。 風景もそんな感じやしな・・・・ |
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おっ!見たこともない舗装道路に出くわしました! 何より視線の先に岸壁が見えてきましたぜ。 そういえば、これだけ岩だらけの島なのに、 出くわした海岸線といえば、 採石場か民家と港ぐらいでしたもんね。 (海水浴場もあったか) 男鹿島はもともと断崖絶壁に、 囲まれた島だったとも聞きます。 あれが、本来の男鹿島の姿? |
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危険!立入り厳禁!と書かれた標識には これまでくさるほど出くわしてきましたけど、 火気厳禁のオンパレードは初めてです。 何があるのかは、察しがつきますけどね。 これだけ景気よく山を削るには、 アレは必須ですからね。 興味はありますが、 犯罪以上の事態を招きかねないので、 ここは素直に素通り。 3面記事で新聞に載るのは、 もっと素敵な記事でと心に決めているもので。 |
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足場がらしくなってきました。 と、そこに何やらナイフ(大型)をぎらつかせて、 岸壁に突き立て続けている、 端からみてたら近寄りがたい奥様方が。 「地元の方ですか?」 さあ、身の危険も考えずに迷わず話しかけちゃいました。 答えはNO。 姫路から船をチャーターして上陸されたそうです。 すると何故か、昼ごはんをご一緒させてもらうことに。 奥様方のお弁当から山菜や焼きブタ、おにぎりなんかを、 たんまりと失敬させていただきました。 わらびとマヨネーズって、 あんなに相性がいいもんだったんですね。 小学校でワンちゃんの落し物が一杯落ちてる 公園に自生してるヨモギでモチを作って以来、 野草には縁がなかったですが、思い直しました。 ありがたきっ幸せ! |
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「君は何しに来たん?」 「いや、この島をとりあえず一周しようかと」 もちろん止められました。 「大丈夫ですよ。崖から落ちかけたことも、 崖から落ちたことも、 崖から海に落ちたこともありますから」 まったくフォローになってませんが、 心配してくれる奥様方に感謝しつつ、 先の岩場を進んでいきます。 もうここまで来たら、後にはひけませんよ。 傾斜の激しい場所には、 鎖が設置してあったり、かなり親切設計。 えらく高い壁にぶち当たったな・・・とそのとき! ←こんなものがっ!! |
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ウアッハッ!! 海蝕洞穴ですよ!! こんな本格的なモン始めて見た!! 奥行きもかなりあります。 こんな中まで抉れてるってコトは、 満ち潮やったら遭難確実ですな。 中はゴミであふれてますが、 下手すりゃ住めそうな広さのスペースまであります。 岩津ノ鼻というだけあり、 男鹿島の南端にあたる此処には、 瀬戸内海の荒波が相当打ち寄せている様子。 |
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海蝕洞穴は∀の尖がった形でいうと 右側の付け根あたり。 ということは反対側にもあるんじゃね? もうこうなったら行くしかないっ! しかし海蝕洞穴より向こうはどうにも 海にでもハマらない限り、行けそうにない・・。 解決方法は・・・ なら登って降りればいいじゃないw めっちゃ安易な方法でやってしまいました。 ヤブを掻き分けつつ、反対側にでると・・・。 ←またこんな立派なのが!!! |
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その横に駄目押しでもうひとつ! もう狂喜乱舞っ!! この分だと自然海岸が多く残る家島本島や、 坊勢島はどうなってんでしょう! こんなトコに住みたい(切実) 残念ながら、何一つ装備がないので、 進入することは出来ませんが、 引き潮の現時点で、海に浸かっているってことは、 奥行き(侵食具合)も期待できそうですな。 それはそうと、 行けそうな海岸線はここで行き止まり。 まあ、また登って降りればいいか・・・ |
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それがこんなコトになるなんて・・・・ ヤブの中を行けども行けども、降りられそうな場所はなし。 自分の背丈を超えるヤブ・・・ というか密集する低木の群れが、 これでもかと張り巡らされた野茨の有刺鉄線。 20数年の人生で最悪の山歩きですよ。 体中が痛い・・・どんなことになってるのか、 確認する余裕すらない・・・・ 1時間後。 進んでる気がない・・・このままだと遭難? そのときでした。 あっ!視界が開けて眩しくなってきました。 やっと出口、助かったっ! と思ったら崖でした。 マンガみたいな展開がより一層、絶望を深めますね。 というわけで甘い期待は捨てて、 地図上では山頂付近にある 舗装道まで歩いてでることに。 さらに1時間後。 ああ、やっと人間味のある世界に戻ってきた。 島で唯一の男鹿島灯台に、 誰も使ったことのないルートで始めてたどり着きました。 間違っても、オススメしませんが。 |
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2時間かかって登った山を、 5分で降ってきましたよ。 舗装道は素晴らしい・・・。 ここは元男鹿小学校跡地です。 島内で唯一の小学校だったんですが、 人口の激減と、姫路市合併のあおりをくって閉校したとか。 この田ノ浜。 もともと、このあたりが男鹿島では、 一番人口が多い地域だったそうです。 そのせいか、あたりには廃屋が乱立・・・。 一見するとゴーストタウンにしか見えない。 でも、人が居る! 岩津ノ鼻について何か聞けるかも。 「いや、子供のころは、 あそこにちゃんと山道があったんじゃ」 ・・・・何十年前の話なんだ・・・? |
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この先行き止まり! 通り抜けできません! と、唐突に看板が出現。 どうやらこの先は工場になっていて、 民間人は入れない様子。 諸事情で体力も限界だったので、 無理はせず回避することに。 と、今度はのぼり坂・・・。 舗装されてるのが唯一の救いか。 すると後ろから白い車が。 「乗っていきなさい」 と、先ほどの奥様方が。 正直、すごく助かりました。 |
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奥様方に同乗させてもらっていると、 採石場の社長さんと合流。 昔の砕石風景を教えていただきました。 昔は大発破と小発破という砕石作業があって、 大発破があるときは、 島をあげて祝杯をあげる習慣があったそうです。 そりゃ、家の中にはとてもいられない 震度6ぐらいあるんじゃないかと思えるほどの、 地響きが巻き起こる大爆破で、 粉塵が空を覆ったってんですから、すごい。 不謹慎ながらその時代にやって来たかった。 と言っても、今でも山の発破は行われているので、 迂闊に山に登っていると、 吹き飛ばされる危険があるとか。 ちなみに車の横にペンキで殴り書きしてある数字は、 どこの持ち物かをあらわす数字だそうです。 ナンバー代わり? |
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そして、車は青井ノ浜近くまで。 「船があるんやけど、乗っていく?」 すいません。穴居人甘えまくりです。 ここは区長さんの港だそうです。 「男鹿島その1」で紹介したこの倉庫の正体。 奥様方が区長さんにかけあってくれて、 特別に中を見せてもらいました。 中にあったもの・・・それは、 家島天神祭(7月24・25日)で、 活躍する龍頭の檀尻船!でした。 圧巻・・・! |
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思わぬ展開に心からホクホクしながら、 帰りの船にも便乗させていただきました。 漁船は汽船ほど揺れないものの、 スピードがあり、外にいるとマトモに立ってられない。 お土産にサニーレタスと、 奥様方がナイフを突き立てて、 採っていた亀の手(この辺ではタカノツメというらしい) を頂けることに。フランスでは高級食材だそうです。 グロテスクな見た目とは裏腹に 海の薫りが凝縮された超美味! 穴居人は湯がき過ぎたのか固くなってしまいましたが、 プリプリとした食感がたまらないんだとか。 |
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というわけで、飾磨港に帰ってきました。 奥様方には何を恩返ししたらいいか。 お昼ごはんをいただいて、 手作りのクッキーをおやつに持たしてもらい、 車で送ってもらい(実はダチョウ園も連れてってもらった)、 社長さんや区長さんを紹介してもらって、 昔の貴重なお話や、檀尻船を見せてもらったり、 帰りの漁船に同乗させてもらい、 あまつさえ、お土産まで。 箇条書きにすると、 感謝するしかないのが不甲斐ないばかりですよ。 トホホ・・・ 代え難い出逢いに、 また人の温かさを垣間見た日帰りの旅でした。 |