下野田夏まつり
(ほうてんとうさい)
場所・姫路市西脇

正直、祭りに由来なんてぶっちゃけ必要性を感じません。
何も考えずに、気晴らしたいのが夏祭りってものじゃないですか。

放蕩お殿様のご乱行を皆で、3世紀後までヨイショヨイショしてるゆかた祭りみたいに。
藩の財政が大いに傾きかけてた?
幕府から強制的に僻地に左遷されちゃった?

そんな細かいことをイチイチ気にしていたら、祭りが台無しですよ。

特に気持ちが沈むような由来なら尚更です。
でも、奉点燈祭は謳っちゃうんですよね。
高らかと。自慢げに。暗〜いその過去を。

戦国時代。近くの鶏足山には円教寺に匹敵する大伽藍を有した日本最古(?)の寺社の一つ、
鶏足寺がありました。

鶏足寺の連中は新興勢力の織田勢をよく思ってませんでした。

「よそ者が何デカイ顔してんねん」

播磨の寺社と城の3分の2は、
人類発見後のステラー海牛のごとく、そう息巻いた瞬間に全滅させられました。
都会の人はおっかねえです。

鶏足寺も例外じゃありませんでした。
生き残ったのは、陣地まで提供してシッポを振りまくった円教寺だけ。
神様にも世渡りが必要ってことですな。

そんなわけで、鶏足寺は秀吉に焼き払われてしまうんですが、
不器用な彼らを偲んで、地元の人々の手で奉点燈祭は催されることになったそうです。

え?いい話?暗くねぇ?

実は、祭りじゃ語らない一つの事実があるんですよ。
それは、鶏足寺が秀吉の軍隊に焼き討ちされたんじゃないってこと。

鶏足寺は秀吉の命を受けた地元住民の手で焼き討ちされたんです。

つまりは・・・・さぁて、きな臭くなってきましたよッ!

と、煽ったトコで、
雰囲気は田舎の小さな祭りなんですけどね。

ただ違法駐車の数は異常
そもそもちゃんとした駐車場が少ないせいもあるんですが。

田舎道が車で埋まってます。
素直に電車がオススメ。
ちゃんと屋台もありますよ。
姫路でもメジャー級の祭りなんですが、
屋台の数は少ない印象。

まあ、言うほどスペースもないんですけどね。
テキ屋の兄ちゃん達もガツガツしてないので、
もうホントに長閑。

こんなトコで、ホントに神戸新聞で、
奇祭と評された祭りが行われるんですかね?
もしかしたら、この階段をあがった先に、
スゲェもんがお目見えするのか?

一応、神宮皇后が、
戦争の景気づけにぶち飛ばした矢を祀った
(正確にはその矢がぶっ潰した大岩をご神体にした)
気合の入った神社なんで、油断は出来ませんが。

さてはて!
と、煽ったトコで、
やっぱり田舎の小さな祭りなんですけどね。

ものスゴイ、スローテンポの盆踊りが催されてます。

こういう盆踊りは、同じフレーズの繰り返しなんで、
擦り切れそうなテープを
ヘビーリピート(あえて酷使
するのが普通なんですが、
ココは地声

オッサンが代わる代わる熱唱中ですよ。
そんでもって盆踊りの参加人数も多い。

下野田夏祭りなんか、
幼稚園児クラスを強制参加させても、
円を描くのがやっとだったのに、
来場者の半分以上が踊りに参加する過熱っぷり。

やっぱり何か、何かが違うのか?
気合が入ったといや、
この祭り、タダでもらえる景品にもケチをつける、
守銭奴ばかりの姫路にあって、
もはや奇跡と言ってもいいフリードリンクをやってます。

ジュースもビールも飲み放題

やっぱり何か、何かがおかしいぞ!
これも、謀殺された僧侶達の怨念
鎮めるためなのか?
その割りに、呑気に富くじ売ってます。

しかも姫路では総社以外では、
あんまりお目にかかれない巫女さん売り子です。
やっぱり萌え米みたいに売り上げが、
15%UPとかするんでしょうか?

もちろん穴居人は簡単に騙されて即購入ですよ。

「っで、結果はどこでわかるん?」

「はい、祭りの最後にくじ引きをするんです」

やっぱりでした。
買ってしまうと祭りを最後まで
付き合わないといけないときましたよ。

祭りは終わりまで付き合うと込むので、
テキトーに切り上げるのが俺ルールなんですが。
まあ、大枚300円を叩いた後なんで、
後悔しても始まりませんな。

ジュースはもう3本飲んだしね。
元は取りました。

どんな景品が当たるのか知りませんけど、
来年のジュース代に流れる予感がすこぶるします。

そうする内に、激しい太鼓の音が鳴り響いてきました。
この祭り、盛りだくさんですよ。
無我夢中のうちに、メインイベントのお時間です。

転んで燃え移ったら、
洒落にならないヒューマントーチが出来上がりそうな
巨大な松明を抱えた勇者が二人。

ものスゲェ迫力です。
もちろん消防車も水圧パンパンにしながら待機です。

こんなのをどうする気なのか?

とりあえず、近場によって、写真でもと思った次の瞬間、

ブンブン、ブンブン

景気よく回し始めました!
ものスゴイ慣れた手つきです。
冷静に考えたら、自分の背丈よりも大きい
火柱をぶん回してるワケなんで、
青二才に任せられんのも当然です。

それにしてもカメラを構えて接近する穴居人を
物ともしない豪快っぷり。
いつもは煙たい顔をされるんですが、
今回は気にも留めてもらえません。
(それはそれで寂しい)

何せ風向き次第で、火の粉がパラパラと僕の上に・・・。

さすがは円教寺に匹敵する寺社を、
焼き払った猛者たちの子孫です。

そんな火の粉ぐらいで、燃えやしねえよ!
ってなモンなのかも知れません。

いや、松明回すのに手一杯で、
お前なんかに構ってられねぇ!

ってのがホントかも知れませんが。

・・・ってこのトンドみたいなヤツは、
鶏足寺ですか?

あっという間に5m近い火柱になっちゃいましたが。

当時もこんな風にワンサカ燃えたんだろうな、
と想像に難くないですね。

何か鎮魂というより、
怨霊を召喚してる気分になってきたんですが・・・
そのうち、今度は円陣を組み始めました。
おのおの持ち寄った麦わらの松明に点火。

儀式は目に見えてクライマックスですが、
一体、この後何が起こるのか、
想像も出来ません。

このまま、火の中から
足のついてねぇ連中がワンサカ出てきても、
「やっぱり、そうなんだ」
と妙に納得してしまいそうです。

一通り、松明に火がつくと・・・・
舞殿で大ハッスル!

こんな激しい祭りが姫路で見れるとは!
姫路で一番危険な祭り
と言っても過言じゃねえでしょう。

穴居人の顔の10cm前を、
火がついた松明が行き来してます。

誰の注意もなし、誰も止めてくれません。
ひたすら火が消えるまで、松明を打ちつける様は、
本気でビビリまくります。

それでは、もう一度。
「エント!エント!」

あまりの激しい動きに写真がブレブレです。

やっぱり端から見てたら、
悪霊を呼び出してるよーにしか見えませんが。

今まで本気で事故とかなかったんでしょうか?
もしかして事故と見せかけて、
人身御供になった連中が・・・・?

と、お節介この上ない想像まで駆け巡る、
ダイナミックさ。必見です。
最後は麦わらの松明を、
火にくべて終了。

残念ながら怨霊とは出会えませんでしたが、
いいモン見させていただきました。

歴史ある祭りってのを実感させられますな。
悪の組織がバスジャックすると
放送コードに引っかかる時代
で、
こんだけデンジャーな催しが残っているんですから。

それだけ僧侶の怨念は怖いんでしょうかね。
弔いの祭りなんですが、
何故だか最後はくじ引きで締めくくり。

樽の中の数字を木の棒でブッ刺して、
当選者を決める、何とも風情ある富くじです。

しかも一等が温泉旅行

一応、50万人都市なんですが。姫路。

ここだけ昭和で時が止まったようで、
ものすごく心地いい。
当たりを引くたびに、
おばちゃんの軽快なアナウンスが流れます。

「当選番号を持ってる方いませんか〜、
あ、鈴木さん、おめでとう!」


顔見知りかよ。

その他の当選者も、ほとんど名指しするおばちゃん。
盆踊りが整然としてたワケですよ。
地元のしっかりとした絆をかんじました。

っまあ、ソレぐらい結束がないと、
怨霊を押さえ込めないのかも知れませんが。

(最後までしつこく煽ってみる)


祭りは毎年、8月15日

場所は破磐神社
由来があってこの日取りなのかは不明ですけど、
毎年決まってこの日です。

穴場スコア「イーグル」クラス

よろしければ一度ハマッてみて下さい。

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撮影:2008.8 by 穴居人