(おちゃにしこうえん)
場所・姫路市大津区吉美
橋本元大阪市長が、アメリカで差別的な表現や発言をなくそうとする動き、
ポリティカル・コネクトレスの行き過ぎについて、「ものスゴイ息苦しい社会」と正論を吐いてました。
実にその通りです。
そりゃ、日本の戦隊がアメリカに行っていきなり多国籍になったりしてた時代から、
あっちは大変だなぁと思ってました。
攻殻機動隊をスカジョ主演で映画化するだけで、
ホワイトウォッシュ(登場人物が人種設定無視して白人ばかり)って罵られてますからね。
日本じゃ西洋人オンリー(一部チャイニーズ)の鋼の錬金術師だって、
見事に日本人オンリーでやってるのを見たら、向こうの堅苦しさがよく分かるってもんです。
向こうはホントにデリケートです。
まあ、凄まじい人種差別をやってた時代の反動でもあるんですが。
そう、アメリカなんて多民族国家だけあって一通りの差別的な事件は網羅してきましたからね。
ポルポトも真っ青になる位、原住民をぶち殺してきたトコは仕方ないかも知れません。
日本に生まれてホントに良かったです。
でも何で日本じゃそういう事に比較的、寛容なんでしょ?
そりゃもちろん、差別が酷かった時代が過去にあった反動のおかげに決まってるじゃないですか。
そんな時代あったの? とか言い出したら、まあ今の基準からいえば 歴史全編に渡って差別に満ち溢れてます。 人権という概念すりゃなければ、 恋愛すら明治以降の価値観ですからね。 江戸時代。 (今風に言えば)差別は、当然でした。 姫路でも各所各地で渦巻いていたんでしょうが、 その中でも特に肩身狭かっただろうなぁと思うのが、 今回、ご紹介する大津区吉美であります。 |
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吉美ってどこよ? と言われると住民の方々にはホント失礼ですが、 浜手に土地勘がなければ、 穴居人は説明できる気がしません。 主要幹線道路から海の方へ降りていくので、 もちろんその先は行き止まり。 特別に用があるか、 道に迷わなければまず行かないトコです。 ついでに道も激狭。 昔ながらの町並みにあるあるなんで、 ここだけの話じゃありませんが。 |
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町にある吉美八幡神社には、 その町の全景が絵馬で奉納されてます。 いや、これだけ見ても どんだけこじんまりとしてるかは分かります。 昔、この小さな地域の人々が差別されていた? その辺は穴居人の推測に過ぎないんですが。 実のところ資料は残っていないんです。 ただ相当、肩身が狭かったに違いないと思います。 なぜなら・・・・ |
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ここが、林田藩の持つ飛び地だったから。 林田藩は今の姫路市林田町にあった小藩で、 年貢を運んだり等々の海運の為に、 この吉美を持っていたようです。 今回の目的地、御茶西公園は、 その林田藩の船奉行所にあった お茶室跡にあった事から名付けられてます。 お茶室から公園の名前がつくのはまあ珍しい。 林田藩の持ち物だから、差別されてる? それは当時の網干周辺の特殊事情が関係してます。 |
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まず、網干の3地域は丸亀藩の飛び地でした。 その他は龍野藩、 もちろんその対岸は姫路藩、 そして西土井など地域は天領。 今の魚吹八幡神社の氏子は、 実にバラエティに富んだラインナップというか、 てんでバラバラでした。 そしてそのどれもが 林田藩より格上だったんです。 余談ですが、御茶西公園、 公園といいながら遊具なんてものは一切なく、 ただ幾つかベンチが設置してあるだけの、 遊びに行くには魅力に欠けまくるんですが・・・ |
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桜のシーズンだけはほら、この通り。 狭い立地を使ったナイスな桜の通り抜けです。 春以外を全部犠牲にしてる潔さがいっそ清々しいです。 さて、話を戻すと林田藩、 この当時、参勤交代を許されるライン1万石を ギリギリやっと稼いでる程度の小藩でした。 龍野藩、丸亀藩は5万石、 姫路藩が15万石、 幕府直轄地の天領は言わずもがな。 周り全てがとんでもなく格上だったんです。 一番弱小でさえ力関係5倍ですからね。 これで肩身が広くなれるハズがない・・・ |
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それも当時は、罪人でも天領に逃げ込めば 追うことすら出来ないという位、 土地土地のステータスが何処の持ち物かで 大きく決まっていた時代です。 (バーバーリアン達が土地を取り合ってた 戦国時代の名残りで) 吉美の子供たちは、 隣町に行こうという気さえ起きなかったでしょう。 団地住まいが億ションへ、位の格差だもの。 当然です。 もちろん、何の資料にも載ってないんですが、 これだけ差があると、自然に・・ね・・・ ちなみに夜も行ってみました。 外灯が少なすぎて何も見えない・・・ |
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とにかく吉美の皆さん、 苦渋の300年、ご苦労様でした(推測)。 差別の凄まじい時代を、 最小勢力とともに生きてきた皆さんには、 とても痛み入ります。 でも、その反動か、吉美の大動脈 大吉橋には昭和7年に播州唯一という 最新式の跳ね上げ橋が導入されてました。 いや、今は不便なんでしょうけど、 これは見てみたかった。 たった20年でお役御免になりましたが。 |